研究課題
C57BL/6J背景Trsp-CKO群および対照群マウスに、通常食または高脂肪食(脂肪分60%カロリー)を10週齢より8週間給餌する。通常食群と高脂肪食群において、それぞれTrsp-CKOおよびTrspflox/floxに振り分け、合計4群について体重計測を行なった。通常食群では、Trsp-CKOマウスはTrspflox/floxマウスと比較して若干の体重低下を認めたが、高脂肪食群においてはむしろ体重は逆転し、Trsp-CKOマウスでTrspflox/floxマウスと比較して体重増加を認めた。血漿レプチン濃度を測定したところ、通常食群でTrsp-CKOマウスで血漿レプチン濃度の若干の増加を認めたが、高脂肪食群では、血漿レプチン濃度の増加は顕著であった。視床における酸化ストレスを測定したところ、Trsp-CKOマウスではTrspflox/floxマウスと比較して酸化ストレスマーカーの増加を認めた。また、血漿インスリン濃度を測定したところ、通常食群ではTrsp-CKOマウスはTrspflox/floxマウスと比較して差を認めなかった。高脂肪食群ではTrsp-CKOマウスではTrspflox/floxマウスよりも大幅な血漿インスリン濃度の増加を認めた。さらに、高脂肪食を長期間継続した高齢マウスにおいては、膵臓の病理学的検索により、Trsp-CKOマウスでTrspflox/floxマウスと比較して大幅な膵島領域およびインスリン陽性面積の増加を認めた。これらの結果は、視床下部における酸化ストレスの増加はレプチン抵抗性を惹起して、その結果としてインスリン抵抗性を引き起こす可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
マウス個体の解析は順調に進み、酸化ストレスによるインスリン抵抗性の発症についてマウス個体レベルで明らかにすることができた。その一方で、予定していたインスリンシグナル解析で十分な成果を出す事ができなかった。
今後はレプチン抵抗性が惹起される機序について、視床領域のレプチンシグナルの評価を行なう予定である。また肝臓および骨格筋におけるインスリンシグナルの評価も予定している。加えて、Trsp欠失のみならずNrf2の抗酸化機能の役割について検討を進める予定である。
今年度予定していたインスリンシグナルに関する実験が、マウスの準備状況が悪く実施できなかった。このため、次年度行なう必要が生じた。
マウス肝臓および骨格筋のインスリンシグナルを評価するための免疫ブロット解析を行なうための物品代として使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
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