研究課題
タンパク質分解機構であるオートファジーは、細胞の恒常性維持に重要である。オートファジーは、非選択的な細胞内小器官の分解だけでなく、選択的なタンパク質の分解にも関与することが報告されてきた。オートファジーによる選択的なタンパク質分解には、p62が重要な役割を果たしている。オートファジーの機能破綻は、p62の異常蓄積により転写因子Nrf2を活性化する。肝臓特異的なオートファジー不全(Atg7-Alb)マウスは、p62の蓄積により肝腫瘍を発症する。そこで、オートファジー不全による肝腫瘍の発症にはp62を介して活性化されるNrf2が重要であるのではないかと考え、オートファジーとNrf2の二重欠失(Atg7-Alb:Nrf2)マウスを作製して1年齢まで観察した。Atg7-Albマウスは1年齢で肝腫瘍を発症するが、Nrf2の欠失によりオートファジー不全による肝腫瘍は抑制された。予想通り、Nrf2が肝腫瘍の原因であると考えられたが、しかし詳細に解析してみると、Atg7-Alb:Nrf2マウスでは、本来、Albumin-Creにより欠失するはずのAtg7の発現が60%程度まで回復していることがわかった。Atg7-Alb:Nrf2マウスで観察された肝腫瘍の消失は、Nrf2欠失ではなく、Atg7の発現によりオートファジーの機能が回復したことによる可能性がある。今後、Atg7の発現回復とオートファジーの機能についてより詳細に検討する。
2: おおむね順調に進展している
計画通りマウスの繁殖が進み、1年齢のマウスの肝臓を解析することができた。
オートファジー不全とNrf2による肝病態について明らかとするため、オートファジーの機能をAtg7の発現だけでなく、LC3やp62の発現により評価する。
2014年度では旅費のみで新規購入物品はなかったため、次年度に繰り越した。
2014年度の繰越分は2015年度に計上して使用する
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 4件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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