研究課題
ユビキチンプロテアソーム系による選択的蛋白質分解は様々な細胞機能の制御に重要であり、神経系の制御においてもその重要性が近年明らかとなりつつある。申請者らが明らかにしたユビキチンリガーゼSCRAPPERを主とするユビキチンプロテアソーム系による神経シナプス脱構築の分子機構解明を背景に、SCRAPPER依存的なユビキチンプロテアソーム系分解が調節するシナプス蛋白質のイメージングによる解析を試みた。ユビキチン化の異常は多くの神経変性疾患で見られ、神経伝達物質放出異常もまた多くの神経疾患に関与する。シナプス伝達の場におけるユビキチン化の時空間的な詳細を明らかにすることは神経難病の医化学的病態理解に役立つと期待される。平成26年度はユビキチンリガーゼSCRAPPERおよびSCRAPPER依存的蛋白質分解により調節される標的分子、相互作用分子の免疫染色に用いる抗体の評価、超解像顕微鏡によるシナプス蛋白質の可視化条件を検討した。いくつかの抗体について染色条件を確立できた。超解像顕微鏡は構造化照明顕微鏡法を採用したSIM顕微鏡と、ローカライゼーション法を採用したSTORM顕微鏡を用いる。STORM顕微鏡は従来の光学顕微鏡の約10倍、約20nmの超高分解能で分子レベルの理解が可能となる。正確な位置情報検出のためには、間接的に蛍光標識された分子から効率よくシグナルを取り出す必要があり、さらに標識の前処理、観察前の酸化還元状態の最適化を行い、目的分子の観察条件を確立する必要がある。
2: おおむね順調に進展している
当該年度の計画を遂行し目標を達成した。
これまでに確立した方法により、シナプス蛋白質の可視化を継続する。
観察条件の検討に既存の抗体を使用し計画よりも購入金額が少額となった。予定していた謝金の支出がなかったため計画よりも額が抑えられた。以上の理由により次年度使用額が生じた。
個々の分子に対する抗体が複数市販されており購入が必要となるため購入に充てる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 4件) 図書 (2件)
Anal Bioanal Chem
巻: 407 ページ: 1283-1284
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