研究課題
ユビキチンプロテアソーム系による選択的蛋白質分解は神経細胞を含む様々な細胞機能の制御に重要である。ユビキチン化の異常は多くの神経変性疾患で見られ、神経伝達物質放出異常もまた多くの神経疾患に関与する。シナプスにおけるユビキチン化の時空間的な詳細を明らかにすることは神経難病の医化学的病態理解に役立つと期待される。前年度に引き続き、申請者らが明らかにしたユビキチンリガーゼSCRAPPERを主とするユビキチンプロテアソーム系による神経シナプス脱構築および神経伝達制御の分子機構解明を目的として解析を行った。1)SCRAPPERノックアウトあるいは過剰発現マウスの脳を用いて、変動している標的蛋白質の量を検証した。具体的には、シナプス関連蛋白質に対する抗体を用いたウェスタンブロット法により抽出物に含まれる量を検討、免疫組織化学実験での脳切片観察により脳組織における発現量を検討した。2)ユビキチンプロテアソーム系の阻害剤を海馬培養神経細胞に作用させ、モーター蛋白質に与える影響を、ウェスタンブロット法を用いて発現量を比較した。3)前年度から継続して、超解像顕微鏡によるシナプス蛋白質のイメージングを試みた。超解像顕微鏡は構造化照明顕微鏡法を採用したSIM顕微鏡、および、ローカライゼーション法を採用したSTORM顕微鏡を用い、海馬初代培養神経細胞に加え脳組織切片での観察を試みた。これまで用いた方法ではSTORMの多重染色像では波長の重なりがあることが判明したため、新たな蛍光二次抗体を検討し、シグナルが分離できることを確認した。今後は今年度確立した条件で撮像を行い、分子分布データを取得する予定である。
2: おおむね順調に進展している
当該年度の計画を遂行し目標を達成した。
シナプス蛋白質の可視化を継続するとともに脳全体の切片を対象に質量分析イメージングを行う。
予定していたよりも安価で入手できた試薬があったため。
試薬の購入費用に充て、有効に使用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
J Neurochem.
巻: 140 ページ: 435-450
10.1111/jnc.13897
Andrologia
巻: 49 ページ: -
10.1111/and.12599
eNeuro.
巻: 3 ページ: -
10.1523/ENEURO.0110-16.2016
J Cell Sci.
巻: 129 ページ: 2757-2766
10.1242/jcs.185983.
Anal Bioanal Chem
巻: 408 ページ: 7607-7615
10.1007/s00216-016-9594-9