研究課題
造血コロニーアッセイをおこなったところ、対照群の造血幹細胞・前駆細胞ではリプレーティングにより造血コロニー数は減少するのに対し、I363Mへテロマウス由来の細胞では、複数回のリプレーティングにおいても、造血コロニー形成能が維持されることを見出した。また、骨髄移植を用いた造血再構築能の解析では、I363Mへテロマウス由来の細胞は対照マウス由来の細胞に比較して高いキメラ率を示した。さらに、新生仔マウスに白血病レトロウイルス感染させて、経過観察をおこなったところ、I363Mへテロマウスでは、対照マウスと比較して、早期に造血器腫瘍を発症することが明らかとなった。以上のことから、I363M変異は細胞自律的な機構により、造血細胞に増殖能を賦与し、また、個体レベルで腫瘍感受性の亢進に寄与することがわかった。これら腫瘍感受性亢進の分子基盤について検討をおこなうため、骨髄より単離した造血幹細胞を用いて、RNA-sequenceにより網羅的遺伝子発現解析をおこなった。
2: おおむね順調に進展している
I363M変異が造血幹細胞、前駆細胞に及ぼす影響、および、腫瘍感受性を亢進させることが明らかとなった。おおむね順調に進行している。
造血幹細胞に遺伝子発現解析の結果をもとに、I363M変異マウスにおける造血器腫瘍発症感受性亢進の分子基盤を明らかにすることをこころみる。また、白血病レトロウイルスにより腫瘍を発症したマウスの腫瘍組織において、遺伝子発現とウイルスのゲノム挿入部位の解析を行い、これらの結果から白血病発症に協調的に機能する遺伝子の同定をこころみる。
経費で購入予定としている消耗品(抗体など)が、次年度に安価で購入できることが判明したため、当該年度の所要額と実支出額とに差 額が生じ、次年度使用額が発生した。
主要な用途は、抗体や、機器の使用に必要な消耗品などに使用する予定である。
すべて 2015
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Blood
巻: 125 ページ: 3437-3446
doi:10.1182/blood-2014-03-562694