研究課題
造血幹細胞分画を用いて網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、I363Mへテロマウス由来の細胞では、幹細胞の適切な遺伝子発現制御に重要とされるヒストンH3K27とH3K4がともにトリメチル化修飾を受ける領域(bivalentクロマチンドメイン)を有する遺伝子群、及び骨髄球系細胞関連遺伝子群、cAMPを介した細胞内情報伝達経路に関連する遺伝子群の発現が全般的に上昇していた。また以前の研究より、I363M変異EEDを有するPRC2は活性化に障害があることが示唆されたため、野性型及びホモマウス由来胎仔線維芽細胞を用いて、ChIPシークエンスにより包括的なエピゲノムへの影響を解析した。結果、H3K27モノメチル、ジメチル化の分布には両者で大きな違いを認めなかったのに対し、変異細胞においてはH3K27トリメチル化のピークから周囲への伝播が大きく障害されていることが示された。I363M変異によるエピゲノム異常、遺伝子発現異常は、胚発生および造血細胞の機能制御に働き、また腫瘍感受性の亢進に寄与することが明らかとなった。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Proc Natl Acad Sci U S A.
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