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2016 年度 実施状況報告書

妊娠期膵β細胞におけるインスリン分泌能亢進機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26460396
研究機関杏林大学

研究代表者

今泉 美佳  杏林大学, 医学部, 教授 (40201941)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード糖尿病 / インスリン分泌 / 妊娠 / 開口分泌
研究実績の概要

1.妊娠期母体では、胎児へのグルコース供給のためにインスリン抵抗性が惹起され、その代償のために膵β細胞はインスリン分泌を著しく亢進させる。前年度の研究により、妊娠期膵β細胞からの代償性インスリン分泌亢進にATP受容体であるP2X7受容体が重要な役割を果たしていることを見出した。今年度はP2X7受容体ノックアウトマウスを用いて検討をさらに進めた結果、妊娠時のATP放出増加によりP2X7受容体を介して代償性のグルコース応答性インスリン分泌亢進が引き起されることを、細胞外ATP定量とectonucleotidase阻害剤の効果の解析により示唆した。
2. 私達は既に2型糖尿病疾患感受性遺伝子であるCDKALのノックアウトマウスを用いて、CDKAL1発現低下が妊娠期の代償性インスリン分泌亢進不全を起こすことを明らかにしているが、その詳細な分子機構については未だ不明であることから解析を進めた。その結果、妊娠期CDKAL1ノックアウトマウスでのインスリン分泌亢進不全はβ細胞でのインスリン分泌能低下が主たる原因であること、またこの低下のメカニズムに強い小胞体ストレスとミトコンドリアの機能低下が関与していることを示唆した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

今年度はP2X7受容体及びCDKAL1による妊娠時インスリン分泌亢進機構の解明のため妊娠P2X7受容体ノックアウトマウスとCDKAL1ノックアウトマウスを用いて研究を進める計画であった。しかしP2X7受容体ノックアウトマウスに関しては妊娠マウスが計画通り得られず、CDKAL1ノックアウトマウスに関しては食殺による産仔喪失が起こり、繁殖低下に陥った。結果、各ノックアウトマウスを用いたインスリン分泌解析が遅延することとなった。

今後の研究の推進方策

マウスの妊娠、繁殖に関しては実験動物施設のケージを増やし、また体外授精による繁殖を行うことで対処し、計画通りに今年度行うことができなかった、妊娠期インスリン分泌亢進におけるP2X7受容体とCDKAL1の調節分子機構を明らかにする予定である。この結果と前年度までに明らかにしてきた結果と統合し、妊娠期インスリン分泌亢進の分子基盤を明らかにし、妊娠糖尿病の成因を考察する予定である

次年度使用額が生じた理由

研究で使用する予定のノックアウトマウスに関して妊娠マウスが計画通り得られず、また食殺による産仔喪失が起こり、繁殖低下に陥った。

次年度使用額の使用計画

研究推進のため、生化学、遺伝子工学、免疫組織化学実験のための薬品、実験動物、培養用プラスチック製品など主に消耗品費に研究費を使用予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Opposing roles for SNAP23 in secretion in exocrine and endocrine pancreatic cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Kunii M, Ohara-Imaizumi M, Takahashi N, Kobayashi M, Kawakami R, Kondoh Y, Shimizu T, Simizu S, Lin B, Nunomura K, Aoyagi K, Ohno M, Ohmuraya M, Sato T, Yoshimura S, Sato K, Harada R, Kim YJ, Osada H, Nemoto T, Kasai H, Kitamura T, Nagamatsu S, Harada A.
    • 雑誌名

      J Cell Biol

      巻: 215 ページ: 121-138

    • DOI

      10.1083/jcb.201604030

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] VAMP7 regulates autophagy to maintain mitochondrial homeostasis and to control insulin secretion in pancreatic β-cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Aoyagi K., Ohara-Imaizumi, M., Itakura, M., Torii, S., Akimoto, Y., Nishiwaki, C., Nakamichi, Y., Kishimoto, T., Kawakami, H., Harada, A., Takahashi, M., Nagamatsu, S.
    • 雑誌名

      Diabetes

      巻: 65 ページ: 1648-1659

    • DOI

      10.2337/db15-1207

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] VAMP7 regulates autophagy to maintain mitochondrial homeostasis and to control insulin secretion in pancreatic b-cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Aoyagi K., Itakura M., Nakamichi Y., Nishiwaki C., Torii S., Nagamatsu S., Ohara-Imaizumi M.
    • 学会等名
      第60回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2017-05-18 – 2017-05-20
    • 招待講演
  • [学会発表] インスリン分泌におけるアクティブゾーンタンパク質の役割 (基調講演)2017

    • 著者名/発表者名
      今泉美佳
    • 学会等名
      第26回東京インスリン分泌研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2017-02-23 – 2017-02-23
    • 招待講演
  • [学会発表] VAMP7 regulates autophagy to maintain mitochondrial homeostasis and to control insulin secretion in pancreatic beta-cells.2016

    • 著者名/発表者名
      青柳共太、西脇知世乃、中道洋子、岸本拓磨、鳥居征司、今泉美佳
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2016-09-25 – 2016-09-27
  • [学会発表] インスリン開口分泌におけるアクティブゾーン構成タンパク質ELKSの役割2016

    • 著者名/発表者名
      今泉美佳、青柳共太、吉田昌史、飛田耶馬人、岸本拓磨、中道洋子、西脇知世乃、﨑村建司、大塚稔久、加計正文、永松信哉
    • 学会等名
      第59回日本糖尿病学会年次学術集会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2016-05-19 – 2016-05-21

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公開日: 2018-01-16  

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