研究課題
妊娠期母体はインスリン抵抗性を示し、これを代償するために膵β細胞からのインスリン分泌が増加する。この分泌増加にはβ細胞の増殖とβ細胞からのインスリン分泌能亢進が反映していると考えられているが、インスリン分泌能亢進のメカニズムは不明であり、妊娠糖尿病の病因究明のためにも重要な研究課題となっている。私達は妊娠期にβ細胞で合成、分泌されるセロトニンが、セロトニン受容体であるHtr3aを介してインスリン分泌能を亢進させるメカニズムを妊娠Htr3aノックアウトマウス用いて見出し、本研究ではその考察に加え、妊娠期で分泌増加するATPがATP受容体であるP2X7を介してインスリン分泌能を亢進させることを妊娠P2X7ノックアウトマウス用いて明らかにした。また、2型糖尿病感受性遺伝子CDKAL1のリスクアレルは妊娠糖尿病とも関連があることが示唆されているため、妊娠期のCDKALノックアウトマウスを用いて、CDKAL1発現低下と妊娠期インスリン分泌について調べた所、妊娠期CDKAL1ノックアウトマウスでのインスリン分泌亢進不全はβ細胞でのインスリン分泌能低下が主たる原因であること、またこの低下のメカニズムに強い小胞体ストレスとミトコンドリアの機能低下が関与していることを明らかにした。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 8602
10.1038/s41598-017-09239-5
http://www.kyorin-u.ac.jp/univ/user/medicine/insulin/