がん細胞で頻繁にみつかるミトコンドリアDNA変異(D-loop)と胎児性抗原HMGA2の発現・機能との関係について、肝細胞癌(HCC)を対象に検討した。D-loop領域の変異は、通常、ミトコンドリア機能の低下を引き起こし、その結果、細胞増殖の低下を引き起こす。そのような状況下でDNA損傷応答キナーゼATMによってHMGA2が誘導されていた。そして、誘導されたHMGA2は細胞老化を抑制し、増殖能維持に機能していた。すなわち、呼吸鎖活性低下による増殖能低下/細胞老化誘導の克服に働いていた。具体的には、ミトコンドリア呼吸鎖の低下により低下するE2F1転写制御ネットワークの活性を回復させていた。
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