研究課題/領域番号 |
26460400
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
飯塚 眞由 帝京大学, 医学部, 准教授 (20232118)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エストロゲン受容体 / ユビキチン |
研究実績の概要 |
DNA複製開始初期に働くヒストンアセチル化酵素であるHbo1が、ユビキチン化を介してエストロゲン受容体(ER)のタンパク質分解を促進する機構を明らかにし、ER陽性乳がんがホルモン療法に抵抗性を獲得する機構を理解するのに役立てることが目的である。 1年目(2014年度)から2年目(2015年度)の前半では、ERの欠失変異体、点突然変異体を作製し、Hbo1によるERのユビキチン化部位の決定を試み、以下のことが明らかとなった。 (1) ERのカルボキシル末端に位置するリガンド結合ドメイン(LBD;アミノ酸:304-554)が、Hbo1によってユビキチン化の促進を受ける。(2) LBD内の11か所すべてのリシン残基をアルギニン残基に置換した変異体でもHbo1によってユビキチン化が促進される。さらに、4か所のシステイン残基をアラニン残基に置換した変異体でもHbo1によってユビキチン化が促進された。以上から、ERのLBDの特定のアミノ酸残基にユビキチン化が起こるというよりむしろ、あるアミノ酸残基にユビキチン化が起こらなければ、別のアミノ酸残基にユビキチン化が生ずるようなメカニズムが働いているように見える。 2年目(2015年度)の後半では、試験管内でERのLBDをHbo1によってユビキチン化する系を構築した。その結果、以下のことが明らかとなった。(1) Hbo1の組換えタンパク質が、ユビキチンE3結合酵素(リガーゼ)活性を持つ。 (2) 試験管内で、Hbo1組換えタンパク質が、ERのLBD組換えタンパク質をユビキチン化する。(3)ERのリガンドであるベーターエストラジオール存在下で、Hbo1によるユビキチン化反応は阻害される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユビキチン化部位のマッピングは不首尾に終わったことは当初の予定と違ってしまった。試験管内でHbo1によるユビキチン化をする実験系が構築できた意義は大きい。
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今後の研究の推進方策 |
試験管内でHbo1によるユビキチン化をする実験系を駆使して、ユビキチン化を介してエストロゲン受容体のタンパク質分解を促進する機構を明らかにし、エストロゲン容体 (ER)陽性乳がんがホルモン療法に抵抗性を獲得する機構を理解するのに役立てるよう努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、消耗品の購入が少しく時期的に遅れたためであると考える。
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次年度使用額の使用計画 |
試験管内ユビキチン化を用いて、エストロゲン受容体のユビキチン化の分子機構を探るための消耗品の購入(例えば、ユビキチンタンパク質、ユビキチン化結合酵素などの組換えタンパク質や組換えタンパク質精製のための試薬)に充てたい。
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