本研究の目的は好中球による殺菌システム、neutrophil extracellular traps (NETs)形成の分子機構の解明である。まずヒト好中球を用いてin vitroにNETsを誘導し、1)分葉核の喪失、2)クロマチンの弛緩、3)細胞膜の崩壊、の3段階で進行することを見出した。次に各段階のサンプルを用いてiTRAQR法による網羅的質量分析をおこない、クロマチンの弛緩に伴い急激な増加(20倍以上)が認められた約80種類のペプチド(翻訳後修飾を含み、15種類のタンパク質の断片)を見出した。特に顕著に増加した2種のタンパク質について、遺伝子欠失好中球モデルを作成して検討を進めている。
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