研究課題
1)連鎖解析:平均0.1cM間隔のSNPマーカーを用いて連鎖解析を再計算したところ、責任遺伝子変異の連鎖領域がrs1341580からrs16837709の37.1 Mbの領域に狭められた。われわれが注目しているIQGAP3遺伝子はこの連鎖領域内に存在している。2)罹患者におけるIQGAP3遺伝子の異常スプライス産物発現の検出:前年度の段階で、責任候補遺伝子変異が存在するイントロン27にnon coding RNAが存在することが明らかになったため、エクソン26とエクソン29にプライマーペアを設定し、イントロン28がスプライスされた産物が健常者cDNAで存在することをPCRによりまずは確認できた。しかし、患者cDNAでは増幅産物が得られなかった。したがって、患者では異常スプライスが生じている可能性が残された。3)リアルタイムPCR法によるIQGAP3発現解析:新たなプローブを設定し、コントロールおよび家系内健常者と家系内罹患者で比較しようとしたが、罹患者特異的に安定した発現データが得られず、患者ではIQGAP3の発現に変化が生じている可能性はやはり否定できないと考えている。4)家系内患者および罹患者の候補遺伝子変異を含むnon coding RNA領域全長のシークエンスを決定した。5)比較的微細なcopy number variantが真の責任遺伝子変異である可能性も考えられるため、平行してCHGアレイのデータ解析を開始した。
4: 遅れている
#リンパ球における目的の遺伝子の発現量が極端に低いため、想定をはるかに超える検体量が必要であったため、患者検体が不足し、検体の再採取を行わなくてはならなくなり、再採取をおこなった。#末梢血リンパ球でのIQGAP3発現が健常者で極めて低いことにより、発現量の定量が不可能ではないが困難である。#当初は異常スプライス産物が病因に関与していると仮定していたが、これに加えて当該変異を含むnon coding RNAが病因に関与している可能性や、さらには比較的短い塩基配列のcopy number variantが真の原因である可能性もrule outする必要が生じた。
1)多数のプライマーペアを新たに設計し、引き続き異常スプライス産物検出を行う。2)患者および健常者由来のcDNAから制限酵素サイトを付加したIQGAP3 non coding RNA領域のフラグメントをプラスミドに導入し、ベクターを用いて培養神経細胞にトランスフェクションする。ついで、RNAやタンパク質を抽出し、リアルタイムPCRやウエスタンブロッティングでIQGAP3の発現を比較することでnon coding RNAの機能的意義を検討する。さらに可能であれば、マイクロアレイを用いて遺伝子発現変化を網羅的に調べる。3)CHGアレイにより、患者特異的な病的copy number variantの有無を解析する。
培養神経細胞を用いた実験を行う予定であったが、実験が遅れているため、培養神経細胞実験に必要な試薬購入費洋が未使用となりました。
新たにCHGアレイのデータ解析を行う必要性が生じたため、こちらの費用に充てることとしました。
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