• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

ヒト膀胱尿路上皮癌でのエストロゲン受容体βの役割とその臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 26460412
研究機関東北大学

研究代表者

中村 保宏  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80396499)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード膀胱尿路上皮癌 / ERβ / エストロゲン合成酵素
研究実績の概要

ヒト膀胱尿路上皮癌の本邦での発生頻度は近年増加傾向にあり、その死亡率も決して低くはない。一方、最近の疫学データでは、本邦での罹患率の男女比は3:1で男性に多く罹患率も男性のみが増加傾向である。また、最近ヒト膀胱尿路上皮癌でのアンドロゲン受容体やエストロゲン受容体の発現が複数報告されている。以上から、我々は性ホルモンがヒト膀胱尿路上皮癌発症の男女差に関与している可能性がある、との仮説を立てた。これまでの我々の検討では、(1)ヒト膀胱尿路上皮癌組織ではエストロゲン受容体のうちERβの発現が豊富であること、(2)ヒト膀胱尿路上皮癌組織ではエストロゲン合成・代謝酵素であるSTSとESTの発現がみられ、それらの発現量は癌細胞の深達度(pTa, PT1, pT2)と逆の相関にあること、(3)ヒト膀胱尿路上皮癌培養細胞株であるT24ではERβの発現量が比較的高いこと、(4)ERβアゴニスト添加により同細胞の細胞増殖能、遊走能は低下することを証明した。以上の結果から、ヒト膀胱尿路上皮癌では局所で産生されたエストロゲンが同細胞に発現するERβに作用して癌細胞の増殖や浸潤に負の調節を行っており、またその調節機構が消失することで癌の進展が亢進する可能性があると推察された。現在、同細胞での細胞増殖能、遊走能に関与するERβ関連遺伝子の同定をPCRアレイ解析にて進めており、さらに同癌組織でのそれらの遺伝子発現状況を検索する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、ヒト膀胱尿路上皮癌培養細胞株であるT24に対してERβアゴニスト添加による細胞増殖能、遊走能に対する影響の有無、およびそれらに関与するERβ関連遺伝子の同定とその膀胱尿路上皮癌検体での発現状況の詳細を検討する予定であった。しかし、増殖能および遊走能の実験において最初のうち安定したdataが得られなかったため、多くの実験やトラブルシューティングを行うこととなった。そのため、研究の進捗に遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

1.これまでの実験により同定されたERβ関連遺伝子の機能的意義を裏付けるため、T24細胞に対してsiRNAを用いた発現のノックダウンを行い、ERβアゴニストによる癌細胞の増殖や遊走に対する影響を検索する。

2.ヒト膀胱尿路上皮癌組織やT24細胞において、上記遺伝子と関連するmiRNA発現量との相関について検討を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ヒト膀胱尿路上皮癌におけるエストロゲン受容体βの発現動態とその機能的意義2016

    • 著者名/発表者名
      伊勢和恵、中村保宏、深谷佐智子、端秀子、安藤紘花、島田啓司、笹野公伸
    • 学会等名
      第105回日本病理学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター、仙台市
    • 年月日
      2016-05-12 – 2016-05-14
  • [学会発表] ヒト膀胱尿路上皮癌におけるエストロゲン受容体、エストロゲン合成・代謝酵素の発現検討2015

    • 著者名/発表者名
      中村保宏、伊勢和恵、島田啓司、齊藤涼子、柴原裕紀子、笠島敦子、 藤島史喜、渡辺みか、小西登、笹野公伸
    • 学会等名
      第104回日本病理学会総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場、名古屋市
    • 年月日
      2015-04-30 – 2015-05-02

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi