研究課題
平成27年度までの研究において、膵神経内分泌腫瘍におけるプロゲステロン受容体の腫瘍細胞増殖への抑制作用について明らかとした。平成28年度は、さらに神経内分泌腫瘍におけるプロゲステロン受容体サブタイプA (PgRA)が腫瘍細胞増殖を抑制に密接に関与する機序を詳細に解明するために、ヒト膵神経内分泌腫瘍に由来する培養細胞株 QGP1 を使用し、PgRAを強制発現させた上で、細胞周期関連遺伝子のプロゲステロンの投与下および非存在下における発現を cell cycle PCR array を使用して定量した。プロゲステロン投与下においては、CCNA2, CCNB1, CDK1 , CDK2 を含む多くの細胞周期関連遺伝子発現の増加が確認されたが、これらの遺伝子は PgRA発現細胞においては発現が低下した。細胞周期は、プロゲステロン投与下において S期からG2/M期に移行が認められたが、PgRA発現細胞においては細胞周期の移行が認められなかった。患者から摘出された膵神経内分泌腫瘍組織においては、免疫組織学的にCCNA2, CCNB1, CDK1, CDK2の発現とWHO分類が正相関し、PgRA発現と逆相関を示した。これらの結果は、PgRA の細胞増殖抑制がプロゲステロン存在下において細胞周期関連遺伝子の制御と密に関連することを示唆する結果と考えられた。これらの研究成果は、現在国際誌に投稿中 (The Journal of Steroid Biochemistry and Molecular Biology, submitted on April 2017)である。また、現在はさらに肺神経内分泌腫瘍においても PgRAの発現と臨床病理学的因子の関係を検討中であり、PgRAの多臓器における神経内分泌腫瘍の機能を詳細に解析する予定である。
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