研究課題
子宮頸部腺癌は増加傾向にあり、子宮頸癌癌の25%を占めている。また、頸部扁平上皮癌と比較して頸部腺癌の予後は悪い。しかし、腫瘍としての組織発生学的検討、分子生物学的形質解析、予後改善を目指した治療戦略に関わる基礎検討などはほとんどない。本研究は、手術材料および培養細胞を用い、ヒト正常培養頸部腺上皮と頸部腺癌でタイト結合関連タンパク質(TJPs)の発現変化及び発現調節機構を詳細に解析し、頸部腺癌におけるTJPsの新規分子マーカーとしての有用性を明らかにする事を目的としている。平成28年度は以下の実験を行い、結果を得ている。1)子宮頸部腺癌細胞株でCLDN1欠損株を作成した。通常の細胞株と比較してCLDN1欠損株では、WST-8、コロニー形成試験で確認される増殖能が顕著に抑制されることを確認していた。平成28年度は更に通常株と比較してCLDN1欠損株で遊走能および浸潤能が顕著に抑制されること、xenograft modelを用いた検討により造腫瘍能が有意に抑制されることを確認した。以上の結果からCLDN1の癌細胞悪性化への関与が示唆された。2)子宮頸部腺癌細胞株で通常株とCLDN1欠損株を用いタイト結合機能を解析した。CLDN欠損株では通常株と比較して、フェンス機能、バリア機能が顕著に阻害されていた。頸部腺癌においてCLDN1はタイト結合機能の一部を担っていることが示唆された。3) 子宮頸部腺癌細胞株の通常株とCLDN1欠損株への薬剤感受性を確認したところ、CLDN1欠損株で抗がん剤への感受性が亢進していた。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
European Journal of Immunology
巻: 46 ページ: 929-940
10.1002/eji.201545835
Virchows Archiv
巻: 469 ページ: 417-426
10.1007/s00428-016-1984-z
Pflugers Archiv
巻: - ページ: -
10.1007/s00424-016-1877-7
Scientific Reports
10.1038/srep33582