研究実績の概要 |
脂肪酸によるマイクロRNA発現の変化を検討し癌幹細胞への影響を検討した。CT26大腸癌細胞をリノール酸(LA)またはエライジン酸(EA)で処理しアレイにより検討し、両脂肪酸で発現亢進を示したもののうちmiR-494について検討を行った。両脂肪酸とmiR-494 mimicまたは inhibitorを処理し、sphere assayにより幹細胞性を検討した。Sphere densityはLA, EAにより増加したが、 mimic処理により強い増加が認められた。一方、inhibitor処理によりsphere densityは低下し、LA, EAによるdensityの増加も抑制された。Sphere assayによる癌幹細胞マーカーの発現を検討すると、CD133はLAとmimicで増加し、nucleostemin(NS)はEAとmimicで増加した。一方、inhibitor処理により、両脂肪酸でCD133・NSの発現は消失した。さらに、miR-494標的遺伝子候補で癌幹細胞分化に関係するPPARγ coactivator 1A、PTEN、activin A receptor 1C、FGFR2についてmRNA発現を検討するとFGFR2以外では、EA, LA, mimicでは発現低下が、inhibitorでは発現亢進が認められた。このように、miR-494は脂肪酸により発現が促進され、分化促進因子を抑制し癌幹細胞性の維持に関与することが示唆された。
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