一般的な食品成分である脂肪酸の癌幹細胞への影響を、幹細胞性への影響を与える機序、および、がん転移・がん化学療法への影響について検討を行った。とくに、トランス脂肪酸であるエライジン酸は、強い癌転移促進効果を有し、長鎖脂肪酸受容体からEGFRへのトランス活性化を介したwnt系の活性化、マイクロRNAを介した分化誘導遺伝子の抑制などによりがん幹細胞性を促進することが明らかになった。また、ω-6系長鎖脂肪酸であるリノール酸ではdormant stemに関連する遺伝子系の発現が亢進しており、化学療法においては癌幹細胞の存続を促進する可能性が示唆された。
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