研究課題
以前の研究で234例の大腸腫瘍においてGNAS変異を検索し、GNAS変異は絨毛腺腫に高頻度かつ特異的に認められるという結果を得ていた(Yamada M. J Pathol. 2012)。しかし、その後、変異GNASが鋸歯状腺腫の一部(8%)にも認められるという報告がされた(Wiland HO. 4th Am J Surg Pathol. 2014)。今回、より多くの症例でこの所見を確認するため、70例の鋸歯状腺腫を含む計188例の大腸ポリープを対象として、次世代シークエンサーを用いた変異検索を行った。GNAS変異は8例(11%)の鋸歯状腺腫で認められたが、過形成性ポリープ、sessile serrated adenoma/polyp、管状腺腫、管状絨毛腺腫では全く認められなかった。これらの結果から、GNAS変異は大腸腫瘍において絨毛腺腫のみならず、低頻度では有るが鋸歯状腺腫の一部にも認められる事が確認された。大腸ポリープのうち鋸歯状病変は高頻度に胃型粘液の発現を伴っており、他の消化器においても胃型粘液を発現する病変にGNAS変異を多く認める点から、興味深い所見と考えられた。GNAS変異とその他の遺伝子変異の相関について明らかなものは認められなかった.また、この変異検索の中で、鋸歯状腺腫に特徴的な遺伝子変異として、PTPRK-RSPO3融合遺伝子およびRNF43の不活化型変異が存在する事を見いだした(Sekine S. J Pathol. 2016)。
2: おおむね順調に進展している
臨床検体の解析を中心として解析を進めており、特に大腸腫瘍を中心として新たな知見が得られている。
臨床検体の解析においては発がん過程における関わりを明らかにする視点から、解析を進めていく。また、培養細胞を用いた機能解析についても平行して進めていく。
購入した物品の値引き等による差額および入荷の遅れのため生じた
消耗品の購入に充当する
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J Pathol
巻: 239 ページ: 133-8
10.1002/path.4709.
Histopathology
巻: 67 ページ: 689-98
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