研究課題
昨年度までの解析で大腸ポリープのうち鋸歯状腺腫の一部にGNAS変異の存在することが明らかとなった。しかしながら、GNAS変異を有する鋸歯状腺腫は特徴的な形態やその他の臨床病理学的特徴を示さず、その腫瘍発生における意義は不明である。そこで、120例程度の鋸歯状腺腫を対象として、大腸発癌に関わる他の遺伝子の解析を並行して行い、GNASと他の遺伝子変異との相関の有無を確認することとした。現在までにこれらの検体で、RSPO融合遺伝子や大腸発癌の早期に関わる遺伝子の解析をおおむね終了している。また、この過程で新規のRSPO融合遺伝子を同定した(投稿中)。今後、GNAS遺伝子変異を有する鋸歯状腺腫が特定の分子病理学的特徴を示すかを検討し、何らかの特徴が認められた場合、その特徴が浸潤癌においても共通するかを検索する。また、異型を伴うSSA/Pの解析を行い、少数のGNAS変異陽性例を同定した。一方、通常型の管状腺腫や管状絨毛腺腫には全く変異が見られないことから、GNAS変異が鋸歯状病変に特徴的な変異である可能性が考えられた。その他の消化管におけるGNAS変異陽性腫瘍を用いて、病変内におけるGNAS変異の不均一性についての検索を行っており、特に腫瘍の進展との関連を中心として検討を進めている。その他の遺伝子変異との関連から、多段階腫瘍発生におけるそれぞれの遺伝子変異の関与の違いを示唆する所見が得られている。
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Histopathology
巻: 49 ページ: 664-669
10.1111/his.13104
Mod Pathol
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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