研究実績の概要 |
MCPyV陽性症例群のメルケル細胞癌腫瘍細胞のみに免疫グロブリン(IgG, IgA, IgM)が発現し、MCPyV陰性群では陰性であり、さらに特に軽鎖はIgκ鎖のみが発現してIgλが発現しない事実を確認して、学会発表して論文に掲載した(Am J Surg Pathol. 2014;38(12):1627-35)。この現象はメルケル細胞癌がリンパ球に由来することを意味せず、MCPyVに感染したメルケル細胞癌により免疫グロブリンが異所性に発現すると考察した。その病態機序は未解明である。 メルケル細胞癌のMCPyV陽性群(30例)とMCPyV陰性群(30例)よりRNAを抽出して PI3K-Akt系のmTOR, Akt, TSC1, TSC2, 4E-BP1等遺伝子のmRNA発現をRT-PCRで定量して比較検討し、それぞれのシグナル遺伝子の蛋白やそのりん酸化して活性化した産物に対する抗体でFFPE標本の免疫染色が可能なもの(例えば、Akt1(pan)Rabbit mAbとPhospho-Akt(Ser473)Rabbit mAb)をCell Signaling社から購入して免疫染色により両群でのシグナル活性化を比較した。その結果、ほとんどt Akt/mTOR/4E-BP1 pathway signalは、MCPyV陽性症例群と陰性群で亢進して有意差が認めなかったが、 p-Akt(T308)が陰性群で有意に活性化していた。これらの成果は分子標的治療にために有用である(Hum Pathol. 2015;46:210-6)。 メルケル細胞癌のMCPyV陽性群(20例)とMCPyV陰性群(20例)を用いてMCPyV-STの合成ペプチドに対する抗体とMCPyV-ST mRNAに対するProbe:ST 全長(nt 196–756)を作成してそれらの感度と特異度を既存の抗体(CM2B4)と比較検討してこれらが優れていることを報告した(Diagn Pathol. 2014 Mar 20;9:65)
|