研究課題
接着因子や癌関連遺伝子であるcell adhesion molecule 1 (CADM1)/differentially expressed in adenocarcinoma of the lung protein 1 (DAL-1)/membrane protein, palmitoylated 3 (MPP3) tripartite complex とmal T-cell differentiation protein (MAL) のメルケル細胞癌における発現や遺伝子変異と予後の相関を、MCPyV陽性群と陰性群で比較した結果、"Lower expression of CADM1 and higher expression of MAL in Merkel cell carcinomas are associated with Merkel cell polyomavirus infection and better prognosis"であることを報告した(Hum Pathol. 2016;48:1-8. doi: 10.1016).'Cytokeratin 20-negative Merkel cell carcinoma is infrequently associated with the Merkel cell polyomavirus'の論文の検索方法の不十分な点を指摘しつつ、我々もCK20陰性のメルケル細胞癌はMCPyV感染頻度が低いことを確実な方法で再確認したことを報告した(Mod Pathol. 2016 Jan;29(1):89-90. doi: 10.1038).免疫異常のない381人の患者から採取した口腔内腫瘍や顎骨腫瘍におけるMCVPyVの感染頻度と感染量を定量的PCRで検索した結果、これらには低頻度で低負荷のウイルスDNAを確認した。この結果は口腔内腫瘍や顎骨腫瘍におけるMCVPyV関連腫瘍の存在を意味せず、背景組織の微量なウイルスを検出していることを明らかにした(Mol Clin Oncol. 2015 Nov;3(6):1301-1306).メルケル細胞癌において新規の細胞分裂マーカーであるphosphohistone-H3 (PHH3) (Ser10)をKi-67やHE染色と比較した結果、より細胞増殖の指標として優れており、予後との相関があることを示した(Pathol Int. 2015 Aug;65(8):404-9. doi: 10.1111/pin.12305).
2: おおむね順調に進展している
これまでMCPyVに関する論文が、メルケル細胞癌について3編、その他の疾患についても3編掲載されている。MCPyV陽性と陰性のメルケル細胞癌から抽出したDNAより、次世代シークエンサーを用いて代表的な癌関連遺伝子の変異を検索した結果を検討中であるが、ウイルスの有無による差が明瞭でなかった。症例数が少ないためか、また、一部のがん遺伝子のエクソンに限定した検索結果のせいかもしれない。
MCPyV陽性と陰性のメルケル細胞癌群では、その発癌機構が異なると予想されているが、体細胞遺伝子変異を誘発するAID(activation-induced deaminase)の発現が、MCPyV陰性メルケル細胞癌群で有意に高いことを明らかにしている。AIDの調節因子の発現とNGSの解析結果を合わせて、早急に論文投稿する予定である。メルケル細胞癌における刺激伝導系のJak-Stat signaling系やHedgehog signaling pathwayの蛋白発現や遺伝子変異についても検索を進めており、ウイルスの有無や予後との相関を調べる。
H28年度の配分は、90万円と少ないのが、最後の年度にこれまでの成果を投稿し、論文掲載する費用やドイツで開催される国際学会で発表する旅費を確保する必要があるためです。
これまでの成果を投稿し、論文掲載する費用やドイツで開催される国際学会で発表する旅費の一部として使用する予定です。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)
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