膠芽腫はきわめて予後不良な脳腫瘍であり、病態の解明が急務である。壊死の存在は膠芽腫の組織像の特徴であるが、壊死周囲などの微小環境を試験管内で再現する実験法は確立していない。我々は今回、ヒト膠芽腫由来細胞株(T98G、U87等)を用い、細胞をスフェロイド(細胞集塊)の形で培養する方法を確立し、膠芽腫の組織像と比較した。スフェロイドの中心部では、膠芽腫の壊死巣に類似した細胞死領域が出現し、それは低酸素とグルコース欠乏を基盤としていることが明らかとなった。また、膠芽腫細胞において、低酸素、グルコース欠乏により発現が低下する幹細胞関連タンパク質としてPSF1を見出した。
|