宮崎大学医学部附属病院および教育児関連病因で施行されるDCA標本、心筋梗塞患者の冠動脈から採取される吸引血栓・血液およびヒト剖検症例冠動脈標本を用いて、冠動脈プラークとひプラークにおけるカリリンの蛋白発現の局在を免疫染色で検討したが、カリリンの発現は認めなかった。また細胞レベルにおけるmRNA発現量をリアルタイムPCR法、マイクロダイセクション法、In situ hybridizationにより検討したが、カリリンのmRNAの発現は認めなかった。血栓形成に関与に関しても、カリリンの関与はみられなかった。 DCA標本、吸引血栓・血液およびヒト剖検症例冠動脈標本でのカリリン発現の結果と臨床所見(安定狭心症 vs 不安定狭心症、再狭窄の有無、程度との関連)を比較検討したが、カリリンと上記の臨床所見には明らかな関連性は認めなかった。また糖尿病、高脂血症、高血圧症、喫煙などの動脈硬化症の危険因子についても検討したが、これら危険因子との関連もみられなかった。 剖検症例標本を用いて、全身の動脈硬化病変を評価したところ、72%の症例で、下肢の動脈(総腸骨動脈)に高度の動脈硬化変化を認め、石灰化、プラーク内出血、プラーク破綻を高頻度に認めた。下肢の動脈硬化票片は、年齢(60歳以上)、男性、高血圧症、糖尿病、喫煙者に多かった。また下肢動脈硬化病変は、心血管イベント、心筋梗塞、脳梗塞とも相関を示し、下肢の動脈硬化は、全身の動脈硬化を反映することがわかった。
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