研究課題
申請者は、初期から高度の血管やリンパ管侵襲を来たし、予後不良である肺の微乳頭腺癌(MPPAC)から細胞株を樹立した(KU-MPPAC細胞と命名)。この細胞は血清加RPMI-1640培地や無血清培地H-SFM培地、無タンパク培地PFHM-II培地で継代・維持している。また、この細胞に山中4因子を導入して作成したcancer iPS細胞も作製し維持している(月)KU-MPP4F細胞と命名)。今年度は、KU-MPPAC細胞の培養上清中のタンパク質を二次元電気泳動法で解析した結果とKU-MPPAC細胞と腺癌の代表的な細胞株であるA549細胞のmRNA解析した結果をQIAGENのINGENUITY Pathway analysisを行った。その結果、MPPAC細胞ではタンパク質、mRNA解析に共通してP53タンパク質に関連したタンパク質群やmRNA群の発現亢進が認められた。また、このソフトを用いたUp stream解析の結果でも共通して、さらにmRNA解析では最も重要な上流の制御因子としてP53が同定された。この腫瘍の進展にP53シグナル系が関与している可能性がある。微乳頭肺腺癌患者血清中で同定されたHSP27について、多数例のMPPACと非MPPAC患者の血清中の自己抗体量を比較したところ、AUC = 0.731 (P = 0.029)と有意に両者を鑑別することが可能であった。また、MPPAC患者に比して非MPPAC患者で有意に高値を示していた。免疫染色ではMPPAC組織に比して非MPPAC組織でHSP27の陽性率や染色スコアが亢進していた。HSP27は肺腺癌組織では悪性度の低い群での発現が亢進しており、予後良好のマーカーであることが推測された。今後、これまでのデータを解析し、論文に結びつけていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
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http://kerid-web.kitasato-u.ac.jp/scripts/websearch/index.htm?lang=ja