研究実績の概要 |
①腫瘍組織における sphingosin-1-phosphate receptor (S1PR)-1, 2, 3, 4, 5発現の免疫染色による検討により、S1PR-1, 3, 5は腫瘍浸潤先進部癌細胞、その周囲の反応性間質細胞、血管内皮及びリンパ球の核に発現を認めた。S1PR-2, 4は癌細胞の細胞膜に発現を認めた。特に、S1PR-2は腫瘍浸潤先進部の癌細胞に発現局在を示した。 ② RNA in situ hybridization法(RNA scope)を用い、肺癌浸潤部局所におけるS1PR-1, 2遺伝子発現の半定量解析を試みた。House keeping遺伝子 mRNA発現は検出できたが、S1PR-1, 2遺伝子 mRNA遺伝子の検出感度は低く、半定量解析は困難であった。 ③ 腫瘍ならびに反応性間質細胞におけるS1PR-1, 2, 3, 5の蛋白発現と sphingosine kinase (SPHK)-1発現、ならびに増殖マーカー Ki67、EMTマーカー E-cadhelin, vimentinとの発現の関連が課題として残った。 ④ヒト非小細胞性肺癌樹立細胞株におけるSMS-1, SMS-2の遺伝子発現抑制による機能解析に向け、我々のこれまでの浸潤・転移に関する実験で豊富な基礎データを得ている ヒト線維肉腫細胞 HT1080を用い siRNAによるSMS-1, SMS-2の遺伝子発現抑制の細胞移動能への影響を Oris Pro Cell Migration Assay (Platypus Technologies LLC社)により検討した。SiRNAによるSMS-1, SMS-2の有意な発現抑制を western blot法で確認するとともに、SMS-1, SMS-2単独及び両遺伝子の抑制による有意な細胞移動能の抑制が示された。
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