研究課題
HTLV-1ウイルス蛋白であるTAXは、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)細胞の増殖に重要な役割を果たし、かつHTLV-1-specific Cytotoxic T lymphocyte(CTL)の標的でもあることが知られている。しかし、HTLV-1-specific CTLがATLL患者のリンパ節の中でどのように作用するかは明らかではない。そこで現在、ATLLの患者のリンパ節検体を用いて、HLA-A24-restricted TAX-specific CTLの蛍光染色を行い、腫瘍のHLA-A24、TAX、Foxp3の発現との関係を検討している。方法:Assay 1:ATLL患者のリンパ節病変にTax-specific CTLはいるのか?PCR法にて、HLA-A24を確認したATLLのFrozen sectionを用いて、MHC dextramerによりHLA-A24 restricted TAX-specific CTLの蛍光染色を行っている。Tax-specific CTLとFOXp3の関係を解析するため、抗FOXp3抗体(Abcam)を使用し免疫染色を行っている。また、Tax-specific CTLの活性をみるため、INFγの免疫染色を行っている。その結果、一部の症例で、ATLLのリンパ節病変内にはTax-specific CTLが認められている。また、Tax-specific CTL数は、形態との関連はみられなかったが、FOXp3陽性の症例では優位に低い傾向がみられた。現在、PCR法でHLA-A24の確定できた14例のATLLの凍結材料を用い解析を行なっている。さらに、論文作成のためCD20,CD3,CD4,CD8,TIA-1の染色を行ない、解析を追加中である。
2: おおむね順調に進展している
HTLV-1関連リンパ腫におけるウイルス抗原特異的CTLの病態解析:今回の研究にあたり以下の方法:方法1,2,3は、確立できたため、今後は症例の選定、追加を行う予定をしている。また4)を行い論文の作成中である。また必要に応じて解析を追加する予定にしている。方法1) ATLL患者のリンパ節病変にTax-specific CTLはいるのかを確認するため、PCR法にて、HLA-A24を確認したATLLのFrozen sectionを用いて、MHC dextramerによりHLA-A24 restricted TAX-specific CTLを蛍光染色を行っている。方法2) Tax-specific CTLとFOXp3の関係を解析するため、抗FOXp3抗体(Abcam)を使用し免疫染色を行っている。方法3) Tax-specific CTLの活性をみるため、INFγの免疫染色を行っている。4) さらに、論文作成のためCD20,CD3,CD4,CD8,TIA-1の染色を行ない、解析を追加中である。
HTLV-1関連リンパ腫におけるウイルス抗原特異的CTLの病態解析については上記のように、今後は症例の選定、追加を行う予定をしている。EBV関連リンパ腫におけるウイルス抗原特異的CTLの病態解析においては、CTLの解析がうまくいかないものの、びまん大細胞型リンパ腫において、免疫逃避タンパクPDL-1および、その作用タンパクであるPD1の解析とEBVの感染の関連を解析し論文化が終了し、掲載にいたっている。(Blood. 2015 Nov 5;126(19):2193-201)結果:PD-L1の染色性に関して 1) PAX5陽性の腫瘍細胞がPD-L1に陽性 (neoplastic PD-L1 positive DLBCL :nPD-L1 positiveと定義) 2) PAX5陰性のstromal cellがPD-L1に陽性 (microinvironmental PD-L1 positive DLBCL: miPD-L1 positiveと定義) 3) PAX5陽性の腫瘍細胞、陰性のstromal cellいずれもPD-L1陰性 (PD-L1 negativeと定義)の3パターンが見られ、nPD-L1 positive症例が10.5%、nPD-L1 negative 症例が89.5%であり、そのうちmiPD-L1 positive症例が13.5%、PD-L1 negative症例が76.0%であった。臨床像のPS、節外病変、B症状、LDH、IL-2R、stageの検討では、positive群ではB症状、sIL-2R高値例が多く、IPIがhigh riskである症例が多いという結果が得られた(P=0.004; P=0.0005; p=0.04)。予後解析において、nPD-L1 positiveはnPD-L1 negativeと比較して有意に予後が悪いという結果となった(P=0.0009)。また、R-CHOP, R-CHOP-likeの治療された症例においても、nPD-L1 positiveはnPD-L1 negativeと比較して有意に予後が不良であった(P=0.013)
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