インフルエンザは自然治癒する疾患であるが、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、脳症、心筋炎症状を併発し死亡する場合がある。本研究では、病理学的・分子生物学的手法によりインフルエンザ剖検組織を解析し、異なるARDSの発症機序があることを見出した。すなわち肺胞上皮細胞で増殖しやすいウイルスクローンが感染しウイルス性肺炎からARDSを併発し呼吸不全で死亡する機序とインフルエンザウイルス感染後に宿主の過剰な免疫応答により全身性炎症反応症候群(SIRS)が惹起され、ARDSを併発し多臓器不全で死亡する機序があることがわかった。インフルエンザ脳症では脳組織で炎症性メディエーターの発現が高いことが示された。
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