研究課題
ランゲルハンス細胞組織球症(以下LCH)は浸潤臓器により、予後の点から2大別される。予後が悪いとされるリスク臓器に病変が存在するタイプは、LCH-RO (risk organ)(+)、それ以外は、LCH-RO (-)である。LCH-RO (-)はさらに一つのシステムでの増殖か否かにより、MS (multi system)-LCHかSS (single-system)-LCHに分けられる。我々は、LCH-RO (+)とLCH-RO (-)の間に、メルケル細胞ポリオーマウイルスDNAが血中に検出されるか否かと相関がある事をかつて報告した。2011-2013年度科研(23590426)では、LCH-RO (-)におけるMS-LCHとSS-LCHの差異を規定する因子に関して、患者血清を用いて検討した。その解析によって得られた、MS-LCH患者血漿及びSS-LCH患者血漿間で有意差を示すピークを、今回の質量分析器による解析に依り同定し、論文報告した[1]。1.Murakami I, et al. Acute-phase ITIH4 levels distinguish multi-system from single-system Langerhans cell histiocytosis via plasma peptidomics. Clin Proteomics. 2015;12:16.
2: おおむね順調に進展している
当初の計画では、複数のピークを同定する予定であったが、タンパクの性質等の兼ね合いで全てが同定出来たわけではなく、当初の計画以上の進展と判断出来る段階には進展が得られなかった。
血清のタンパクの解析だけでなく、RNAに関する解析等も推進予定である。様々なデータの蓄積により、LCHの発症メカニズムの一端を担うと考えられるinterleukin 1 loop modelに関して、日本病理学会(2016年5月12日~14日、仙台)シンポジウム(組織球・樹状細胞腫瘍の病理診断アップデート)、組織球学会(2016年10月17日~19日、ダブリン)、小児血液・がん学会(2016年12月15日~17日、東京)のLCHシンポジウム(基礎と病理)等に於いて報告予定である。
2015年度に鳥取大学から高知大学に赴任し、一時期、研究がストップする事態となったため。
高知大学に於いても、鳥取大学と同様に研究環境が整いつつあり、当初の計画通りに進みつつある。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Clin Proteomics
巻: 12 ページ: 16
10.1186/s12014-015-9089-2