研究実績の概要 |
肉腫型中皮腫と肺多形癌の鑑別のため,それぞれ6例の症例を収集し、それぞれからmRNAを抽出して、網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、ムチンコア蛋白をコードするMUC4 geneのmRNAが肺癌のほうで、より高い発現を示していることが明らかとなった。 この知見から抗MUC4抗体を用いて、肉腫型中皮腫31例、肺肉腫様癌29例の免疫染色を行った。その結果、蛋白レベルでもMUC4の発現は肉腫型中皮腫 0/31 (0%), 肺肉腫様癌 21/29 (72.4%)と肺肉腫様癌に有意に高い発現が見られることがわかった。これらの所見はMUC4が中皮腫の陰性マーカーとして応用できる可能性を示唆した。また、MUC4は、従来から中皮腫の鑑別マーカーとして用いられてきた、calretinin, D2-40, p40, TTF-1, Claudin-4よりも正診率が高いことがわかった。
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