タイト結合蛋白occludinのジスルフィド結合を介したoccludin安定性に関る分子機構や、その細胞機能への影響を探るためために以下の実験を行い、結果を得た。 1、H2O2曝露状態で野生型およびシステイン変異型occludinの量を測定したが、いずれにも通常状態と比べて大きな変化は見られなかった。 2、ユビキチンE3リガーゼITCH結合部位(PPxY)変異型occludinは低酸素環境での安定性が増す。低酸素でのPPxY変異型occludinの細胞内と細胞膜上の量の変化をウェスタン解析で測定、比較したところ、細胞質内の量はほとんど変化しないものの、細胞膜上では変異型occludinがむしろ増加していた。ただし、低酸素で細胞膜上のoccludinが細胞質内へ移動が阻害されるか否かの確認はできなかった。 3、共免疫沈降でPPxY変異型occludinとITCHの結合性消失が確認できた。また、ITCHとの共免疫沈降で、システイン変異型occludinは野生型に比べてITCHとより多く結合する傾向が見られた。occludinの共免疫沈降で、細胞膜上だけでなく細胞質内でもoccludinとoccludinの相互作用があることが確認できた。 4、PPxY変異型occludinを導入した細胞は、細胞増殖性が減少する傾向を示した。Occludinが高発現している細胞株で見られたことから、PPxY変異型occludinが細胞増殖に関してdominant negativeに働くことが示唆された。免疫染色ではMIB-1の染色性には違いがないものの、cleaved caspase-3が有意に多く染色され、アポトーシスが亢進することが示された。
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