研究課題
aPKCλ/ιは細胞極性を規定するとともに多くの癌での高発現する。本研究では1)細胞極性規定分子aPKCλ/ιおよびその下流分子IL6の各種難治癌における発現と、臨床病理学的因子との相関について調べる。2) aPKCに対する免疫細胞化学染色により、尿、体腔液中の癌細胞検出系を確立する。3)aPKCλ/ι阻害薬(aurothiomalate),IL6阻害薬(tocilizumab)がaPKCλ/ι, IL6高発現腫瘍細胞株に与える増殖抑制効果を検証し、治療標的としての可能性を検討する。本年度は大腸癌関連病変としての側方進展性腫瘍(lateral spreading tumor, LST)と子宮頸癌およびその前がん病変であるCIN(cervical intraepithelial neoplasia)を対象に疾患の進行とaPKVλ/ιの発現および局在についての検討を加えた。LST 24例、平坦陥凹型病変13例、ポリープ状病変20例についてaPKCλ/ιの発現と局在を免疫組織化学的に検討した。 LST-腺腫の86.6%と LST-癌の55.6%ではaPKC λ/ιは正常粘膜に比してやや高い発現を示した。 これに対しポリープ状腺腫やポリープ内癌では高発現がみられた。このことからaPKCλ/ιは大腸腫瘍性病変の熱い区形式に影響を与えると考えられた。一方、子宮頸がんの前がん病変であるCINを検討したところ、CIN1→CIN2→CIN3と病態が進行するに従い、aPKCλ/ιの発現が増強すること、かつCIN1, CIN2においては経過観察中に進行した症例においてaPKCλ/ιが核に局在していた。このことはaPKCλ/ιがCINの程度の員団とともに信仰の予測に有用なマーカーであることを示す。
3: やや遅れている
代表研究者が所属機関を異動したことから、当初の目標に掲げた培養細胞を用いた実験の実行が、当面、困難となったため、臨床検体を用いての検討を主体に行わざるを得なかった。大腸LSTと子宮頸癌とその前駆病変であるCINを対象に知見が得られたにとどまっている。
現在、分担研究者所属施設で細胞、動物実験の継続を計画している。すなわち主に乳癌、前立腺癌細胞株を用いてaPKCλ/ι-IL6経路の制御が癌の増殖抑制につながるかを検討する。我々は本研究期間中にaPKCλ/ι遺伝子を高発現している乳癌および前立腺癌細胞株に対し,aPKCλ/ι阻害薬(aurothiomalate)やIL6阻害薬(tocilizmab)を処理、あるいはRNA干渉法でaPKCλ/ι遺伝子をノックダウンすることにより増殖能、浸潤能抑制が得られるかを検討する。また阻害剤処理や遺伝子ノックダウンでヌードマウスでの造腫瘍性抑制が得られるかを検討する。これらを通じて分子標的治療確立の可能性を検討する。
科学研究費交付決定後に、所属機関・部署の異動が決定し、新たな態勢での研究の計画通りの執行が困難であったため、助成金の使用が大幅に遅れた。
2015年度は研究態勢を見なおし、遅れを取り戻すため尽力したい。現所属は病院内の診断部門であるため、研究設備が皆無である。そのため助成金は試薬、消耗品費に充てることとする。現所属の基礎部門講座や客員教授としてのポジションを保持している前所属・横浜市立大学の設備を利用しての研究を推進する。
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