研究課題/領域番号 |
26460458
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
山口 浩 東京医科大学, 医学部, 准教授 (20510697)
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研究分担者 |
古川 徹 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30282122)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膵癌 / 膵管内腫瘍 / 全エクソン解析 / DNA解析 / 次世代シーケンサー |
研究実績の概要 |
初年度には,intraductal tubulopapillary neoplasm (ITPN)のアーカイブ症例のうち,3例の新鮮凍結標本を用いて,SOliD systemおよびBioscope softwareを用いて全ゲノムエクソン解析を施行し,複数のデータベースを参照にしてpotential driver geneの同定を行っていた.2年目の本年度は,さらに3例の新規凍結材料が研究対象として用いることが可能となった.同3例に対して,顕微鏡ガイド下に腫瘍部・非腫瘍部から別箇に組織のサンプリングを行い,DNAを抽出した.SOliD systemによる全ゲノムエクソン解析にチャレンジしたが,核酸の分解が強く解析困難であることが予想されたため,準網羅的な検討であるIon TorrnetのAmpliseq Cancer Comprehensive Panelによる解析に切り替えた. 解析の結果からは,新規性の高いpotential driver geneの同定が出来ている.また,一例においては通常型膵癌で極めて高頻度に変異がみられるKRAS遺伝子の異常がみつかったが,その部位は通常型膵癌とは全く異なるきわめて珍しいタイプの変異であった.ITPNの膵腫瘍内での独立性の高さを示唆するものと考えられる. 今後は,サンプルをパラフィン包埋標本として対象症例を増やし,Sanger法による直接シーケンス解析をtaget geneを絞って行い,最終結果をまとめる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画になかった新規症例を得て,追加解析を行うことが出来た.前述のごとく,解析方法が前年度の3例とは異なったものなったが,両解析の結果を統合してpotential driver geneを同定する予定である.大きな進捗の遅延や方向転換などはなく,当初の計画に概ね沿った研究の遂行が出来ている.
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今後の研究の推進方策 |
もっとも経費および時間を必要とする,SOliD systemを用いた解析,およびAmpliseq Cancer Comprehensive Panelによる解析を2年目までに終了することが出来たため,今後は同解析結果を元にtaget geneの絞り込みを行い,対象症例を増やしてそのtarget geneの変異をホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いてSanger法により確認する予定である.対象症例は15例前後となる予定で,遺伝子変異の頻度等が割り出せると思われる.Intraductal tubulopapillary neoplasmの腫瘍の発生・進展に関わる異常の検索とともに,診断に有用なツールとなり得るかどうかの検証を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定になかった3症例の全ゲノムエクソン配列の解析のため,次年度予算から50万円の前倒し支払を受けたが,前述のごとく核酸の分解が強くAmpliseq Cancer Comprehensive Panelでの解析に切り替える必要が生じたため,解析費用自体は予定よりも安価となった.
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次年度使用額の使用計画 |
類似した研究を実施中である国外施設があることが判明したため,共同研究という形でデータを統合して発表できないかを折衝中である.お互いの症例の病理所見についてや現時点でのデータの確認のため先方施設を訪問する必要が生じ,今回の繰越金をその旅費に充てる予定である.
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