研究実績の概要 |
子宮頸がん検診制度で得られる貴重な子宮頸部細胞浮遊液を最大限に活用する体制を整えることを目的とし、【1】HPV量とintegration解析による持続感染予測に関する研究、【2】細胞診上皮内病変・HR13陰性症例におけるHR-susp.9の検出と細胞所見に関する研究、【3】細胞診陰性(NILM)・HR-HPV陽性症例におけるHR-HPV感染細胞検出に関する研究に取り組んだ。 【1】昨年度に引き続き新たに255症例を解析してHPV16型の単独感染例を追加するべく、HPVのフルスクリーニングを行った結果、計40例の単独感染症例を収集できた。 【2】についてはさらに新たなジェノタイプ(HPV-6,11,40,42,54,55,61,62,71,72,74,81,84,90)を検出する特異的プライマーを作成して解析した(HR-susp.9→25)。症例はbenign:62例、CIN1:95例、CIN2:64例、CIN3&SCC:65例である。各症例のHR13陰性率はそれぞれ17.9%、1.6%、3.1%であり、陰性例すべてからHR-susp.25のいずれかが検出されHPV感染陰性のCINは存在しないことが明らかになった。 【3】カンジダ感染した115例のNILM検体においてHPVが29.6%(34/115例)検出され、HPV陽性のPapスメアにおいて、compression陽性二核細胞が46例(39.1%)検出され、本細胞によるhr-HPVの感度は91.2%、特異度は82.7%であった。さらにin-situ PCRを用いてHPVを検出した結果、本細胞にHPVが局在することが確認できた。
|