子宮頸がん検診制度で得られる貴重な子宮頸部細胞浮遊液を最大限に活用する体制を整えることを目的とし、【1】HPV量とintegration解析による持続感染予測に関する研究、【2】細胞診上皮内病変・HR13陰性症例におけるHR-susp.9の検出と細胞所見に関する研究に主に取り組んだ。 【1】明らかなHPV16型単独感染を症例を収集するために、13種類のHR-HPVを含む計39種類のHPV型を均等感度で検出できるuniplex E6/E7 PCR assayを完成させた。この方法は多種のHPV型を高感度に検出できる世界で唯一のアッセイである。このアッセイにより、CIN2において先行研究の約5倍の多重感染を証明した。HPV16型の単独感染症例を収集した結果、16型単独感染はCIN1においては極めて少なく、単独感染はCIN2以上の病変を形成し、HPV感染および病変形成の持続に関与することが明らかになった。そのほとんどの症例はヒトゲノムにintegrationしている結果も得られた。 【2】についてuniplex E6/E7 PCR assayによる解析で再度スクリーニングした。症例はCIN1:121例、CIN2:90例、CIN3&SCC:84例である。各症例のHR13陰性率はそれぞれ12.4%、1.3%、3.6%であり、陰性例すべてから、いずれかのHPVが検出されHPV感染陰性のCINは存在しないことが明らかになった。
|