研究課題
われわれが樹立した膵癌細胞株2種(PK-8とPK-9)とそれぞれに由来するジェムシタビン(以後GEMと略記)耐性株(RPK-8とRPK-9)の合計4細胞を出発材料に研究を開始した。RPK-9の耐性獲得機序はGEM活性化に必須のDCKのホモ欠失であったが、RPK-8の耐性獲得機序は不明である。前年度はこれら4細胞に対し、レンチウイルスベクターを用いて山中4因子を導入し、iPS細胞を樹立したが、マイコプラズマ感染をおこし、死滅した。今年度は、まず最初に出発材料からマイコプラズマを除去した。また、樹立の効率もそれほど良いものではなかったため、山中因子に加え、ある遺伝子も加えた方法(未発表データのため、詳細は割愛)を試みている。出発材料の4細胞と、コントロールとして繊維芽細胞を用いて樹立したiPS細胞を用い、リプログラミング関連遺伝子の発現状況を調べたところ、RPK-8でのみ、初期化に関わる複数の遺伝子の発現が変化(未発表データのため、詳細は割愛)していた。なお、RPK-8の樹立の過程で、段階的にGEMの濃度をあげて作成したが、樹立途上の各段階の細胞でもこれらの遺伝子の発現状況を調べたところ、段階的に発現が変化していることも判明した。細胞の初期化とGEM耐性との相互の密接な関係がある可能性が考えられる。次年度には、新しい方法を用いてリプログラミングを進めるとともに、これらの候補となる遺伝子の発現がGEM耐性の原因か結果かの判断も含めて検討を加えることとする。
2: おおむね順調に進展している
マイコプラズマ感染で振り出しに戻ったが、遺伝子発現の面からは新事実が判明し、作成方法も新しい方法を試みており、当初の予想とは異なる展開も見られている。
今年度は遺伝子発現の変化とGEM耐性の関連、並びに新たな方法でのリプログラミングを推進する。
前年は¥20,292が残額として残ったが、これを合わせて、平成27年度は研究を進めた。最終的には¥8,910が残額として生じたが、研究は順調に進み、消耗品等の不足をきたさずに研究を進めることができ、支障はきたさなかった。
残額(¥8,910)はわずかではあるが、次年度に物品費として使用する予定とする。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
Biochem Biophys Res Commun
巻: 464 ページ: 1084-1089
10.1016/j.bbrc.2015.07.080
Epigenomics
巻: 7 ページ: 133-136
10.2217/epi.14.90
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/medical/13/index.html