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2016 年度 実績報告書

腫瘍幹細胞の観点からみた腫瘍の多様性を制御する機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26460470
研究機関大阪大学

研究代表者

森井 英一  大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10283772)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード腫瘍幹細胞 / 未熟性 / 多様性
研究実績の概要

子宮類内膜癌は正常内膜細胞で発現するプロゲステロンレセプターを分化マーカーとしてもつが、腫瘍幹細胞として一般に知られるアルデヒド脱水素酵素(ALDH)陽性腫瘍細胞は、プロゲステロンレセプター陰性であることを明らかにした。このことは、腫瘍細胞に本来みられる分化形質をもてない未熟な細胞群が腫瘍幹細胞であることを示している。また、このALDH陽性細胞は上皮の形態をとりながら間葉系のマーカーを示すことを明らかにしており、腫瘍幹細胞は分化マーカー陰性で、上皮とも間葉ともつかない性格を有する細胞といえる。次に子宮類内膜癌においてALDH陽性細胞が高い浸潤能やアポトーシス抵抗性をもつことを明らかにし、この細胞で高発現しているタンパク質群を同定し詳細に解析した。同定された因子の一つであるS100A4を高発現する類内膜癌臨床症例では、MELFパターンという浸潤傾向の強い形態を腫瘍細胞がとった。また、アミノ酸代謝の律速段階にある酵素もALDH陽性細胞で高発現していることを見出している。しかし、なぜかこの酵素を発現している細胞は浸潤能が弱く、腫瘍の浸潤先進部ではこの酵素の発現が減弱する。現在腫瘍幹細胞として一般に受け入れられているALDH陽性細胞も、そこで発現している因子がすべて浸潤能やアポトーシス能を亢進させるわけではなく、発現因子をより詳細に機能解析することで、真に腫瘍幹細胞としての性質に寄与する因子を単離できることが示唆された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Heterogeneity of tumor cells in terms of cancer-initiating cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Morii E
    • 雑誌名

      J Toxicol Pathol.

      巻: 30 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1293/tox.2016-0056

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Immunohistochemical analysis of the novel marginal zone B-cell marker IRTA1 in malignant lymphoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Ikeda JI, Kohara M, Tsuruta Y, Nojima S, Tahara S, Ohshima K, Kurashige M, Wada N, Morii E.
    • 雑誌名

      Hum Pathol.

      巻: 59 ページ: 70-79

    • DOI

      10.1016/j.humpath.2016.09.011.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Podocalyxin influences malignant potential by controlling epithelial-mesenchymal transition in lung adenocarcinoma.2017

    • 著者名/発表者名
      Kusumoto H, Shintani Y, Kanzaki R, Kawamura T, Funaki S, Minami M, Nagatomo I, Morii E, Okumura M.
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: 108 ページ: 528-535

    • DOI

      10.1111/cas.13142

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Argininosuccinate Synthase 1-Deficiency Enhances the Cell Sensitivity to Arginine through Decreased DEPTOR Expression in Endometrial Cancer.2017

    • 著者名/発表者名
      Ohshima K, Nojima S, Tahara S, Kurashige M, Hori Y, Hagiwara K, Okuzaki D, Oki S, Wada N, Ikeda JI, Kanai Y, Morii E.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 7 ページ: 45504

    • DOI

      0.1038/srep45504.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ID1 upregulation and FoxO3a downregulation by Epstein-Barr virus-encoded LMP1 in Hodgkin's lymphoma.2016

    • 著者名/発表者名
      Ikeda JI, Wada N, Nojima S, Tahara S, Tsuruta Y, Oya K, Morii E.
    • 雑誌名

      Mol Clin Oncol.

      巻: 5 ページ: 562-566

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] S100A4 accelerates the proliferation and invasion of endometrioid carcinoma and is associated with the "MELF" pattern.2016

    • 著者名/発表者名
      Tahara S, Nojima S, Ohshima K, Hori Y, Kurashige M, Wada N, Ikeda J, Morii E.
    • 雑誌名

      Cancer Sci.

      巻: 107 ページ: 1345-52

    • DOI

      10.1111/cas.12999.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] S100A4は子宮内膜癌の増殖と浸潤を促進する2016

    • 著者名/発表者名
      田原 紳一郎, 池田 純一郎, 森井 英一
    • 学会等名
      日本癌学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-10-08 – 2016-10-08
  • [学会発表] A novel techonology amd molecular cytology2016

    • 著者名/発表者名
      Eiichi Morii
    • 学会等名
      International Cytology Conference
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-05-29 – 2016-05-29
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 腫瘍におけるアミノ酸代謝酵素の局在の違い

    • URL

      http://www.med.osaka-u.ac.jp/introduction/research/pathology/histopathology

  • [備考] 腫瘍における免疫染色とin situ hybridizationの同時染色

    • URL

      http://www.med.osaka-u.ac.jp/introduction/research/pathology/histopathology

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公開日: 2018-01-16  

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