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2015 年度 実施状況報告書

乳癌の浸潤転移に及ぼすFGF受容体とインテグリンのクロストーク

研究課題

研究課題/領域番号 26460471
研究機関大阪大学

研究代表者

森 誠司  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招聘教授 (90467506)

研究分担者 松浦 成昭  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190402)
河口 直正  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70224748)
濱田 吉之輔  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10362683)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードインテグリン / FGF / FGF受容体 / EMT
研究実績の概要

我々はこれまでにFGFがインテグリンαvβ3に直接結合することがFGFのシグナル伝達経路に重要であることを示し、線維芽細胞の増殖や遊走はこの相互作用に依存していることを明らかにしている。そして現在、このFGFとインテグリンαvβ3の結合が上皮間葉転換 (EMT) の制御に及ぼす影響について解析を進めている。
EMTのマーカーにはE-カドヘリン、N-カドヘリン、ビメンチン、平滑筋アクチンなどがありE-カドヘリン以外はEMTの進行に伴い発現が増加することが知られている。我々はヒト乳腺上皮細胞にTGF-βを添加しEMTを誘導し、さらにFGFを添加することがEMTに及ぼす影響について解析した。その結果、細胞の遊走能・浸潤能が促進され、N-カドヘリンの発現量も増加することを明らかにした。これよりFGFはTGF-βによって誘導されるEMTを促進する能力を有すると考えられる。この作用がFGFとインテグリンαvβ3の直接の相互作用に依存することも明らかにしている。またこのとき平滑筋アクチンの発現だけが抑制されることをウェスタンブロッティングにて明らかにしており現在のその意義を解析中である。また乳腺上皮細胞を3次元培養し腺房を形成させTGF-βにてEMTを誘導した。そこへFGFを添加するとSMAの発現は抑制された。インテグリンに結合できないFGFの変異体では見られなかった。これよりFGFがインテグリンと相互作用することが平滑筋アクチンの発現抑制に重要である事が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト乳腺上皮細胞 (MCF10A) をTGF-β1によって上皮間葉転換 (EMT) を誘導し、間葉系のマーカーである平滑筋アクチン (SMA) の発現量をウェスタンブッロットにて解析した。FGFによってEMTが促進されるときにSMAがFGFによって発現が抑制されることを見出しメカニズムとその意義について解析した。

今後の研究の推進方策

EMTにともない癌の動きや、浸潤性は増大すると考えられている。次年度は、EMTに対するFGFの促進作用により、細胞の遊走能や浸潤能がどのような影響を受けるか解析する。

次年度使用額が生じた理由

年度内に再購入の予定であった試薬類および特異抗体が予想以上に残っていたので購入を控えた。

次年度使用額の使用計画

4月以降に特異抗体も含め試薬の残量の少ないものから順次購入し実験の遅延のないようにする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Enhanced expression of integrin αvβ3 induced by TGF-β is required for the enhancing effect of fibroblast growth factor 1 (FGF1) in TGF-β-induced epithelial-mesenchymal transition (EMT) in mammary epithelial cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Mori S, Kodaira M, Ito A, Okazaki M, Kawaguchi N, Hamada Y, Takada Y, Matsuura N
    • 雑誌名

      PLoS One.

      巻: 10 ページ: e0137486

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0137486

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Improvement of cardiac function after implanting the osteopontin-derived peptide SVVYGLR in a hamster model of dilated cardiomyopathy.2015

    • 著者名/発表者名
      Mizuno Y, Uchinaka A, Horii Y, Mori S, Hamada Y, Miyagawa S, Saito A, Sawa Y, Matsuura N, Kawaguchi N.
    • 雑誌名

      Interact Cardiovasc Thorac Surg.

      巻: 21 ページ: 506-514

    • DOI

      10.1093/icvts/ivv197

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SVVYGLR motif of the thrombin-cleaved N-terminal osteopontin fragment enhances the synthesis of collagen type III in myocardial fibrosis2015

    • 著者名/発表者名
      Uchinaka A, Hamada Y, Mori S, Miyagawa S, Saito A, Sawa Y, Matsuura N, Yamamoto H, Kawaguchi N.
    • 雑誌名

      Mol Cell Biochem

      巻: 408 ページ: 191-203

    • DOI

      10.1007/s11010-015-2495-y

    • 査読あり
  • [学会発表] FGF1とインテグリンαvβ3の結合はヒト正常乳腺上皮細胞株においてTGF-β1によって誘導されるα-SMAの発現を抑制する2015

    • 著者名/発表者名
      岡崎 実佳, 森 誠司, 小平 萌, 伊藤 彩乃, 高田 義一, 松浦 成昭, 山本 浩文
    • 学会等名
      第38回 日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県・神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] FGF1 suppresses TGF-β1-induced smooth muscle actin (α-SMA) depending on the interaction between FGF1 and integrin αvβ3.2015

    • 著者名/発表者名
      岡崎実佳、森誠司、山本浩文、松浦成昭
    • 学会等名
      日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2015-10-08 – 2015-10-10
  • [学会発表] 線維芽細胞増殖因子(FGF1)とインテグリンαvβ3 の相互作用が卵巣癌の上皮間葉転換(EMT)に及ぼす影響2015

    • 著者名/発表者名
      森誠司, 伊藤彩乃, 河口直正, 高田義一, 山本浩文, 松浦成昭
    • 学会等名
      日本適応医学会学術集会
    • 発表場所
      一橋大学 一橋講堂(東京都・千代田区)
    • 年月日
      2015-09-12 – 2015-09-13
  • [学会発表] 線維芽細胞増殖因子(FGF)はFGF受容体とインテグリンαvβ3を介して上皮間葉転換を制御する2015

    • 著者名/発表者名
      森誠司、小平萌、岡崎実佳、高田義一、松浦成昭
    • 学会等名
      日本がん転移学会学術集会
    • 発表場所
      シティプラザ大阪 (大阪府・大阪市)
    • 年月日
      2015-07-23 – 2015-07-24

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公開日: 2017-01-06  

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