研究課題/領域番号 |
26460474
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
市戸 義久 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80452978)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肝幹・前駆細胞 / 細胞移植 / IL17B/IL25 / 再生医学 / 骨髄間葉系細胞 |
研究実績の概要 |
肝幹・前駆細胞であるThy1陽性オーバル細胞をRetrorsine/Partial Hepatectomy (Ret/PH)モデル肝臓に移植すると,肝臓に生着し移植巣を形成する細胞数は少ないが,レシピエント由来の類洞内皮細胞(SECs)でIL17Bを,Kupffer細胞でIL25の発現を誘導することで,肝前駆細胞(Small hepatocytes-like progenitor cells; SHPCs)の増殖を促進することをこれまでに報告した。しかしながら、生着したドナー細胞がほとんどいないにも関わらず,レシピエント由来の類洞内皮細胞(SECs)とKupffer細胞が活性化し,IL17B/IL25発現が誘導されることから,Thy1陽性細胞が分泌する液性因子が重要と考えられた。そこで,Thy1陽性細胞培養上清からMicrovesicles (MVs)を抽出し、Ret/PHモデルラットに腸間膜静脈経由で投与し,SHPCsの挙動を検討した。結果,生理食塩水を投与したコントロールではSHPCs clusterの単位面積当たりの cluster数が0.4 ± 0.1 /mm2, 構成細胞数が75.9 ± 4.4 個だったのに対し、Thy1-MVs投与群ではcluster数1.9 ± 0.5 /mm2, 構成細胞数が174.0 ± 12.4 個と有意に増大した。また、細胞移植と同様にThy1-MVs投与群で、SECsでIL17Bが、Kupffer細胞でIL25の発現が誘導され,かつSHPCsでIL17rbの発現が誘導されていた。以上より,Thy1陽性細胞が分泌するMVsにより、内在性細胞を活性化させ,SECsでIL17bを、Kupffer細胞でIL25を、SHPCsでIL17rbの発現を誘導することによって内在性肝前駆細胞の増殖が促進されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今のところ、研究実施計画に沿って進んでいる。Thy1-MVsからIL17B/IL25の誘導因子や増殖促進因子を同定していく。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、IL17B/IL25による増殖シグナルの解析、及びThy1陽性細胞由来MVsの中からIL17B/IL25誘導因子および増殖促進因子を同定し、in vitroで機能評価してからin vivoへ展開していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究には候補となる液性因子の網羅的解析を必要としており、解析を行う上での最適条件の検討と必要なサンプル量の確保が現在進行中であるため、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
受諾解析費用、サンプル作成の研究補助者に対する謝金、実験動物や実験器具などの消耗品の購入及び研究成果の論文投稿と印刷代に用いる。
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