研究課題/領域番号 |
26460495
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
福田 敏史 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (50372313)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CAMDI / 自閉症 / 中心体 |
研究実績の概要 |
1.CAMDI遺伝子ノックアウトマウスの認知・記憶の行動解析 胎児大脳皮質の神経細胞移動に重要な役割を担うことが明らかとなった新規分子CAMDIのノックアウトマウスを用いた行動解析を行った。物体に体する認知・記憶の試験であるオブジェクト認識試験、空間認知に対するバーンズ試験、ならびに社会的認知を測定するソーシャル認知試験を行った。その結果、いずれの試験においても野生型マウスと比較して、認知・記憶の低下が認められた。これらの結果から、CAMDI遺伝子が脳の高次機能である認知・記憶に関与することが明らかとなった。
2. CAMDI遺伝子ノックアウトマウスにおける中心体の挙動の解析 大脳皮質発生中の神経細胞は、中心体と核が離れた後に再び距離縮めるという方式を繰り返すことで移動することが知られている。CAMDI遺伝子ノックアウトマウスにおいて神経細胞の移動の異常が認められていることから、CAMDIが欠損することで、中心体と核との連動が破綻した結果、細胞移動の異常が観察されている可能性が示唆された。そこでまず野生型マウスに子宮内遺伝子導入法を用いてCentrin2/mCherry遺伝子を導入して中心体を可視化することを試みた。スライスカルチャーを用いてライブイメージングを行ったところ、中心体の挙動が確認されたため、実験系が上手く機能していることを確認した。現在、CAMDIの発現を抑制できるCAMDI-shプラスミドと共発現させることで、CAMDIによる中心体の機能制御を明らかにすることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SPFでの飼育可能匹数に依存するために、行動試験がやや遅れ気味であるが、ライブイメージングを用いた研究は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
ライブイメージングの実験系の確立に目処がついたことから、引き続き中心体の挙動を可視化して、CAMDIノックアウトマウスやsh-RNAでの発現阻害における神経細胞移動の異常について原因を探る。また、CAMDI分子自身の挙動を明らかとするために、EGFP-CAMDIプラスミドの作成を行った。CAMDIのドメインごとの発現プラスミドの構築も完了している。今後は、これらの遺伝子を導入したライブイメージングを行う予定である。特に、CAMDIの発現が多極性細胞から双極性細胞へ形態変化する時期から認められるため、その時期のCAMDIや中心体の局在、動きの時間変化を追うことで正常な大脳皮質での神経細胞移動におけるCAMDIの機能を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究支援者の雇用が予定より少なかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品等の物品費に使用する予定である。
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