研究課題/領域番号 |
26460501
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
尾島 英知 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (80342905)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 胆道領域がん / 細胞株 / 新鮮切除検体 / 遺伝子発現 / データベース |
研究実績の概要 |
難治性のがんとされている胆道領域がんの治療成績向上、さらには発がん機構の解明のためには、まず、その臨床病理学的特性を詳細に把握することが必要であると同時に、それらと“紐付け”可能な臨床検体を用いた包括的な分子病理学的検討が急務である。そこで、研究代表者が新たに樹立した日本人由来の胆道領域がん培養細胞株13種、ジェノグラフトモデル26症例、凍結保存された胆道領域がん臨床サンプル350症例(非腫瘍性胆管も含まれる)、手術症例約400症例の切除標本を軸に、胆道領域がんの発がん・増殖・進展に関わる分子機構の解明と、新規抗癌剤の前臨床試験を通じた検証を行っている。 平成26年度は、凍結保存した検体から薄切標本を作製し、これらからRNAを抽出し、マイクロアレイを用いた網羅的な発現プロファイル解析を行った。解析結果は、凍結材料に対応する匿名化された患者手術標本データと関連付けを行い、146症例の胆道領域がん遺伝子発現データベースを完成させた。本データベースは単独施設としては最大級と考えられる。本データベースを用いて、腫瘍の存在部位(肝臓内と肝臓外)に基づいた群分けを行い、さらに正常胆管を含めた各群間で比較した遺伝子発現プロファイル解析の結果から、著明な差異のある分子を複数個選出し、定量的Real-Time PCR法を施行して発現の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非常に多数の凍結検体から、クオリティーの高いRNAの抽出とマイクロアレイを用いた網羅的な発現プロファイル解析、さらに匿名化された患者手術標本データと関連付けを行い、146症例分の胆道領域がん遺伝子発現データベースを完成させたことは、順調な研究遂行が達成できたと判断している。 しかし、差異のある分子を複数個選出し、定量的Real-Time PCR法を施行して発現の確認を行ったが、これらは既に報告されている遺伝子であり、さらに異なる候補遺伝子の検索を行っている。 また、胆道がん培養がん細胞株や新鮮切除材料の免疫不全マウスの胆道に同所性移植は、現時点では候補遺伝子の同定が十分でない点や動物倫理の観点から現時点では行っていない。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍の存在部位(肝臓内と肝臓外)に基づいた群分けだけでなく、さらに、腫瘍進展様式に関連した病理学的にIDCC付随の有無や既に報告されている腫瘍進展様式(BilIN分類、IPNB分類)に基づいて群分けして、差異のある候補遺伝子の同定を行う予定である。これらに関して、定量的Real-Time PCR法を施行して発現の確認を行ったうえで、有望な分子に関しては、既存抗体または必要に応じて新規に作製した抗体を用いて、多数のヒト胆道領域がんの手術標本を用いた免疫組織化学的検討を施行し、各型を特徴づける機能分子の発現の異常が臨床症例においても実際におこっていることを確認する。それらの因子のタンパク発現について詳細に観察し、がん増殖・進展に深く関連すると考えられる実際に高頻度に発現する分子を選別する。同時に、がんの臨床病理学的特性や患者の生命予後等との関係についても詳細に検討し、がんの生物学的特性の決定に寄与し、病態診断・予後予測の指標あるいは治療標的の候補となる分子の同定を行なう。また、必要に応じて以上の独自に樹立した細胞株を用いたin vitro モデルにより、機能解析を行う予定である。
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