研究課題
テニア科条虫はTaenia、Echinococcus、Hydatigera、Versteriaの4属から構成される。しかし、Taenia属は系統遺伝学的に異なった単系統群を内包しており、分類学的改訂を進めるべく、本研究が開始された。本研究の目的は、世界各地のテニア科条虫を出来るだけ多く集めて、それらのミトコンドリアゲノム完全長DNAと核DNAマーカー(18S rDNA, pepck, pold)の塩基配列を決定し、分子系統解析を進めて、新属もしくは新亜属を創設することである。研究計画最終年度(平成28年度)はアフリカ産のTaenia spp.2種(リカオンとセグロジャッカル由来成虫で、それぞれTaenia serialisやTaenia krabbeiに類似する未記載種)とアラスカ産のTaenia pisiformisを入手し、標的DNAの塩基配列を決定した。Taenia属には約60種の条虫が記載されており、終宿主動物が肉食動物であることから入手が困難であるが、現在までにその半数程度の標的DNA塩基配列を決定することができた。その結果、Taenia属は6つの単系統群、すなわちclade I(代表種 T. solium、以下同様)、clade II(T. hydatigena)、clade III(T. pisiformis)、clade IV(T. laticollis)、clade V(T. polyacantha)、clade VI(T. martis)に分かれると推測できた。しかし、解析したタクソンの数が十分ではなく、分類学的改訂を本研究計画終了時に行なうことは断念せざるを得なかった。今後、新たなタクソンを追加して信頼度の高い系統樹が得られてから改訂を進める予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件)
Zookeys
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