研究課題/領域番号 |
26460504
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
坂元 君年 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (50361465)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 蠕虫 / ミトコンドリア / コハク酸脱水素酵素 / ロドキノン |
研究実績の概要 |
低酸素適応している蠕虫の呼吸鎖で利用されている脂溶性電子伝達キノンであるロドキノンを保有するRhodospirillum rubrumを発現宿主としたエキノコックス複合体IIとR. rubrum複合体IIのキメラ酵素を試みた。前年度はユビキノンしか保有しないRhodobacter capsulatusで発現を試みたが、目的タンパク質の発現は確認出来ていなかった。R. rubrumでは疎水性、または親水性のサブユニットがその細菌本来のタンパク質であるため、発現に有利であるはずだが、R. capsulatus同様に目的タンパク質の発現には至らなかった。 R. rubrumとR. capsulatusそれぞれの複合体IIにそれぞれに特有な変異を互いに導入した変異体についてはR. rubrumを発現宿主として新たに発現株を得ることが出来た。 R. rubrumの複合体IIは野生型はPheであるアミノ酸残基にAlaに変えることによって、活性は半分程度に低下したが、R. capsulatusの複合体IIはAlaからPheへの変異によって5分の1程度に低下した。この変異による触媒方向の優位性が変化するかが一つの焦点であったが、片方の活性が極端に低下するような傾向は見られなかった。この変異による鉄硫黄クラスターの電位の変化に興味が持たれる。 一つの問題点として、活性測定の精度を上げるためにキノール酸化酵素の一つ、bdキノール酸化酵素を欠損させたことにより、細菌の生育遅延が起こり、増殖速度のロット差が起きやすくなった。細菌の生育への影響を観察するにはbdキノール酸化酵素を欠損させないほうが適していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の遅れはあるものの、細菌複合体IIへ変異を導入した株が予定通り得られ、評価系が確立しつつある。初年度に直面した変異導入とそのサブクローニングの問題は、各ステップで使用するべき培地を工夫することで解消された。
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今後の研究の推進方策 |
エキノコックス複合体II発現のための人工オペロンについて、各サブユニットが確実に発現するような工夫とその検証を行う。各サブユニットごとにそれぞれプロモーターを導入することもその一つであるが、プロモーターの数が最小限になるようにしてプラスミド構築の簡素化に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は実験の効率化を目指して分光光度計を購入したが、装置のモデルチェンジによりより安価で同等の性能、操作性が得られたため差額分を無理に物品購入には当てなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでのデータ解析に加え、目的遺伝子の発現解析が可能なコンピューターの購入により、発現解析について外部委託の比率を下げることを計画している。そのコンピューター購入資金の一部として使用する。
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