研究課題
トキソプラズマ症は、細胞内寄生体であるトキソプラズマに感染することにより発症し、免疫正常者では脳・眼・筋肉等に緩増虫体であるシストを形成するのみで、ほとんど無症状であるが、宿主が免疫抑制状態に陥ると重篤な症状を呈する日和見感染症である。眼は、免疫特権部位であるが、トキソプラズマの易感染部位でもあり、トキソプラズマ性網脈絡膜炎は、視機能に大きな影響を及ぼすが、その確定診断は困難なことが多く、診断の遅れは視機能障害に直結する。今回の研究の目的は、トキソプラズマ性網脈絡膜炎発症に関与するたんぱく質を網羅的に解析することにより、微量検体量でかつ高精度で診断できる新規のバイオマーカーの開発や分子標的治療に資するたんぱく質を探索することである。最終年度は、前房水中のバイオマーカーを探索するために、感染前後の前房水、血清、髄液を約100匹のマウスから採取し、ビーズ法で各種サイトカインやケモカインの濃度を測定した。その結果、前房水及び髄液中のIFN-g、IL-12(P40)、IL12(p70)、IL-10、IL-1a、IL-1b、 IL-6、CCL2/MCP-1、CCL3/MIP-1a、CCL4/MIP-1b、CCL5/RANTES、CXCL1/KCの濃度は感染後有意に増加した。これらの分子のうち、IL-12(p70)、IL-10、IL-1b以外の分子は前房水と髄液中の濃度は血清よりも優位に高値であったことから、前房水中のこれらの分子は血清からの漏出では無く、眼局所で産生されたことが明らかになった。以上の結果より、これらの分子はトキソプラズマ性網脈絡膜炎の免疫病態形成に核心的な役割を担っていることが示唆され、前房水中のこれらの濃度を測定することは、トキソプラズマ性網脈絡膜炎の早期診断に役立つ可能性がある。
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