マラリア原虫赤血球侵入分子EBLの細胞内輸送メカニズムを解明するため、まずEBLと相互作用する分子の同定を目的として遺伝子組換えPlasmodium yoelii原虫を作製し実験を行った。 まず、EBLのC末端にGFPを融合させた組換え原虫であるEBL-GFP原虫を作製し、同時にEBLの細胞内輸送ドメインである領域6を欠失させ分子末端にGFPを同様に融合させたΔR6-GFP原虫を作製した。作製した組換え原虫は限外希釈によってクローン化し、以後の実験に用いる事とした。 これらの組換え原虫について、EBLのメロゾイトにおける細胞内局在を間接蛍光抗体法で観察した所、EBL-GFP原虫のEBLは野生型原虫と同様の局在を示し、GFP融合による局在の変化が無い事を確認した。それに対してΔR6-GFP原虫はコントロールである野生型原虫およびEBL-GFP原虫とは明らかにEBLの局在が異なっており、領域6の欠失によってEBLの細胞内局在に変化が生じる事を確認した。 これらの原虫をマウスに感染させ、分裂体期原虫を密度勾配法によって濃縮したサンプルを作製した。これらのサンプルを抗GFP抗体を用いてウエスタンブロッティングを行った所、EBL-GFP原虫では131kDa 、ΔR6-GFP原虫では124kDaの特異的なバンドが得られた。このバンドサイズの差は領域6を欠失した事によるものであり、これらの原虫のEBL分子が抗GFP抗体で認識できる事が分かった。
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