マンソン孤虫による通常の孤虫症と違い、芽殖孤虫は人体内で無性的に増殖し、感染は致死的に経過する。芽殖孤虫の無性増殖の謎を解明するため、マンソン孤虫と芽殖孤虫のゲノムを決定し両者を比較した。 芽殖孤虫のゲノムサイズは653 Mb、マンソン孤虫は796 Mbで、芽殖孤虫のゲノムでは16の遺伝子ファミリーが増大し、26の遺伝子ファミリーが縮小していた。増大していた遺伝子ファミリーは既知の遺伝子と相似性が低かったが、増大したファミリーの遺伝子には臓器分化、シグナル伝達、アポトーシスに関連するものがあった。これは、宿主内という定常環境に生息し臓器を持たないプレロセルコイドの活動を反映したものと考えられた。
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