研究課題
本研究の目的は、赤血球型マラリアの感染防御に対する免疫応答において,未だにその役割がはっきりしていないT細胞の初期応答と免疫記憶の確立を生体内で可視化する事である。実験デザインとして、免疫応答に置いて刺激を受けIFNγを産生する細胞が蛍光タンパク質であるVENUS(GFPの改良型)を発現するように設計されたIFNγ-VENUS-BACトランスジェニックマウスを用いた。このマウスに赤血球型マラリアを感染させ、生体内において:①いつ ②どこでT細胞の免疫応答が強く起きるか? ③どこで記憶T細胞は維持されるかを解析する。マラリアに対する免疫応答を可視化する事により、効果的なマラリアワクチンの投与方法(場所)や時期・回数など基礎知識を得る事が可能で価値が高い。実績:赤血球型マラリアをマウスに感染させ、IFNγの発現を経時的に組織ごとの解析を行った。メロゾイトに感染させたマウスをd1、4、7、14とd60以降で脾臓、リンパ節、肺、肝臓を免疫組織学的に解析またはフロサイトメトリーで解析し、どの細胞がIFNγを発現しているのか、活性化マーカー等を解析を行い、組織のどの場所に多く存在するのかも同時に解析を行った。赤血球型マラリアを感染させると、感染後7dまでの感染初期では、IFNγを強く発現し、CD69陽性の活性化T細胞は、脾臓にほとんど存在していた。骨髄やリンパ節にはほとんど存在していないことが判明した。宿主がわの免疫応答が最大になると思われる2ー3週間後にIFNγを強く発現しているT細胞で、今までに報告されていないCD8+T細胞の亜集団が一時的に現れることを見出した。またこの新規のCD8+T細胞の亜集団は赤血球型マラリア感染が弱い条件では、現れないことが判明した。
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