研究課題
2015年8月、酪農学園大学で第21回日本野生動物医学会大会を開催し、この課題の中間報告が出来た。たとえば、広島市安佐動物園のオオサンショウウオの保全繁殖施設は、本種の継続的な飼育下繁殖に成功し、谷水と井戸水を利用して数百個体を保持している。この改題では病原性の高いヒル類や線虫を記録した。大阪・海遊館のラッコおよびジンベイザメの症例報告が刊行されたが、この結果は、標本とともに同館が行ったサメ類特別展で展示された。釧路市動物園と到津の森公園でも、飼育哺乳類の防疫について、基礎研究が展開されている。前園は豊かな自然環境に隣接した場所に設置され、周辺から野生哺乳類が恒常的に侵入し、防疫上問題視されている。そのため野生動物の有害捕獲が行われるが、捕獲後にこれら動物の寄生虫保有状況調査が行われていることはなかった。そこで本課題で実施し、同園内で捕獲されたアカギツネから多包条虫エキノコックスが見つかるなどの実績を得た。露天の大規模な展示形態には「サファリパーク」がある。立地条件(自然環境)を有効に利用し、飼育動物・訪問客双方にプラスとなる人気施設である一方、野ノズミ類やノネコなどの哺乳類、スズメやカラスなどの鳥類、あるいは昆虫やダニなどの無脊椎動物の侵入機会は、ケージによる飼育より格段に高いこと否めない。そのため、これら侵入動物を中間宿主とする間接発育型寄生虫の感染増加を招く傾向にあるという仮説を設定し、群馬県の施設をモデルとして検証を試み、刊行できた。なお、研究課題を展開中にも大量死を伴う展示動物の疾病を経験した。この改題は寄生虫病に特化しているが、このような死因解明でも、情報管理の中、他分野(病理学、感染症学、臨床学、公衆・衛生学、保全生態学など)の研究者と融通無碍に協調し、ワンヘルスOne Health研究のモデル事例にしたい。
1: 当初の計画以上に進展している
本課題「動物園水族館動物に密かに蔓延する多様な寄生虫病の現状把握とその保全医学的対応」のため、多くの園館との共同研究が不可欠だが、2年目ということで多くの方々に理解が進んだこと、中間報告の場として2015年8月、酪農学園大学で第21回日本野生動物医学会大会を開催され、多くの参加者を得たこと、研究結果を「ひらめき☆ときめきサイエンス事業」などで還元したことなどが理由である。なお、その学会では次のような報告がされた。広島市安佐動物園のオオサンショウウオの保全繁殖施設は、本種の継続的な飼育下繁殖に成功し、谷水と井戸水を利用して数百個体を保持している。この改題では病原性の高いヒル類や線虫を記録した(現在、投稿中)。大阪・海遊館のラッコおよびジンベイザメの症例報告が刊行されたが、この結果は、標本とともに同館が行ったサメ類特別展で展示された。釧路市動物園と到津の森公園でも、飼育哺乳類の防疫について、基礎研究が展開されている。前園は豊かな自然環境に隣接した場所に設置され、周辺から野生哺乳類が恒常的に侵入し、防疫上問題視されている。そのため野生動物の有害捕獲が行われるが、捕獲後にこれら動物の寄生虫保有状況調査が行われていることはなかった。そこで本課題で実施し、同園内で捕獲されたアカギツネから多包条虫エキノコックス見つかるなどの実績を得た(現在、投稿中)。露天の大規模な展示形態には「サファリパーク」がある。立地条件(自然環境)を有効に利用し、飼育動物・訪問客双方にプラスとなる人気施設である一方、野ノズミ類やノネコなどの哺乳類、スズメやカラスなどの鳥類、あるいは昆虫やダニなどの無脊椎動物の侵入機会は、ケージによる飼育より格段に高いこと否めない。そのため、これら侵入動物を中間宿主とする間接発育型寄生虫の感染増加を招く傾向にあるという仮説を設定し、群馬県の施設をモデルとして検証を試み、これも今年刊行された
「達成度」で前述したように、この課題の展開には多くの園館との共同研究が不可欠である。したがって、今後の研究を推進するためには、より多くの園館関係者の方々にご理解頂くようにしたい。そのためには、これまでえられたデータの公表が急務である。たとえば、前述した投稿中の広島市安佐動物園のオオサンショウウオや釧路市動物園の園内徘徊動物の研究などを受理させる。また、学会報告で留めていたものを投稿する等である。また、園館と同等の立場で行うことを最大限の留意点としたい。大学がこのような研究を行う場合、材料の狩り場のようなイメージを持たれやすい。絶対に避けないとならない。一方、園館では、常に、大量死を伴う展示動物の疾病が生じている。この改題は寄生虫病に特化しているが、このような死因解明でも、情報管理の中、他分野(病理学、感染症学、臨床学、公衆・衛生学、保全生態学など)の研究者と融通無碍に協調していきたい。最終的にはワンヘルスOne Health研究のモデル事例にしたい。
ほぼ研究計画どおり、予算執行を進めている。
中間報告および現地疫学調査のための旅費(約70%)、論文出版のための校閲寮や印刷費(約20%)、作業のための謝金(約10%)などに使用される予定である。しかし、前述のように、本課題に関連すると考えられる突発的なアウトブレークでは、移動費が必要になることもあり、そうなると旅費の比率が高くなる可能性があることをお断りしたい。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
J. Vet. Med. Sci.
巻: 77 ページ: 1217-1222
Res. One Heal.
巻: 2 ページ: 1-16
http://clover.rakuno.ac.jp/dspace/access-by-authorext