研究課題/領域番号 |
26460514
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
川合 覚 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70275733)
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研究分担者 |
川瀬 三雄 東北大学, その他の研究科, 教授 (50108057)
美田 敏宏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80318013)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | STH-PAS法 / 遺伝子検査 / Plasmodium / malaria / マラリア |
研究実績の概要 |
本研究では、シングルタグ・ハイブリダイゼーション法(STH法)とクロマトPAS(Printed Array-Strip)を組み合わせた検査技術を用いて、マラリアの新たな遺伝子検査ツールの開発を目指している。本年度は、以下の2項目を中心に実験を実施した。①各原虫種特異的プライマーの設計およびタグ付プライマーによるPCR条件の検討:Plasmodium属・ミトコンドリアDNAのCytochrom b を標的遺伝子とし、1)genus Plasmodium (gPlas)、2) P. falciparum (Pf)、 3) P. vivax (Pv)、4) P. malariae (Pm)、 5) P. ovale (Po)、 6) P. Knowlesi (Pk) の各原虫種を検出するための特異的なプライマーセットを設計した。各プライマーには(gPlas)-B1、(Pf)-B2、(Pv)-B3、 (Pm)-B4、 (Po)-B5、(Pk)-B6のようにタグを付け、陽性対照DNAをテンプレートとしたPCRを行った。その結果、いずれもPAS上で原虫種特異的なPCR産物の検出が可能であった。また、PCRには KAPA2G FAST HS DNA Polymerase, 5x KAPA2G buffer, 25mMMgCl2, 10mMdNTPを試薬として用いると好結果が得られることが明らかとなった。②PASおよびゲル泳動法による検出感度の比較:P. falciparum (Pf)の標的領域の合成遺伝子を作成し、コピー数10の8乗~1に段階希釈したDNA溶液をテンプレートとしたPCRを行った。その結果、ゲル電気泳動法の検出限界は10の3乗コピーであったのに対し、PAS法は10コピーまで検出可能であったことから、PAS法の高い検出感度が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に準じ、おおむね順調に進展した。各種原虫特異的なタグ付プライマーを作成し、それらに適したPCR条件を確立できた。また、PAS法は従来のゲル電気泳動に比較して、高い感度でPCR産物を検出できることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目標は5種類のマラリア原虫を1本の検出ストリップ上で同時に同定する検査ツールを確立することである。本年度の実験では、原虫種が3種類以内であれば同時検出が可能であったが、4種類以上になると非特異反応が出現し、正確な判定結果が得られなかった。この原因として考えられるのは、標的遺伝子が多項目に渡るマルチプレックスPCRの場合、多種プライマーを同時反応させるため、各プライマーの反応感度の違いや、プライマーダイマーの形成等が大きく影響すると思われた。今後は、マルチプレックスPCRに適した各種プライマー濃度の調整、PCR酵素、バッファー等の選定をすすめ、4種類以上の標的遺伝子を同時に検出できる条件を検討したいと考えている。また当初、初年度に計画していた、熱帯熱マラリア原虫の薬剤耐性に関わる遺伝子変異領域の検出については、着手できなかった。次年度は熱帯熱マラリア原虫の遺伝子変異領域の検出についても、視野に入れた実験を展開する予定である。
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