2本鎖RNA(Polyinocinic-polycytidylic acid: PolyI:C)による細胞内寄生細菌感染抵抗性増強機構にNK細胞は必須であると考えられているが、申請者等のこれまでの研究により、Poly I:C による細胞内寄生細菌感染抵抗性増強機構にNK細胞非依存性経路の存在することが明らかとなった。そのため、本研究では、マウスリステリア感染症をモデルとして、PolyI:CによるNK細胞非依存性感染抵抗性増強機構を細胞・タンパク・分子レベルで明らかにすることにより、PolyI:Cによる真の感染抵抗性増強機構を解析することとしていた。当該年度は、Poly I:C がNK細胞非存在下において各種免疫担当細胞にどのような影響を及ぼすかを検討することとした。即ち、NK細胞および/またはiNKT細胞欠損マウス並びにコントロール(C57BL/6)マウスにPoly I:Cを投与し、標的臓器(肝臓・脾臓)の肉眼的変化、標的臓器に存在・集積する各種免疫担当細胞の動態を比較検討する予定であった。しかし、以下に記すように致命的な問題が発生し、再度最初から実験をしなければならなくなった。また、理由は不明であるが、遺伝子欠損マウスの交配が非常に難しく、コントロールマウスと比較して10分の1以下しか繁殖出来ないため、今後どのように交配すれば良いのかを検討する予定である。何れにせよ、遺伝子欠損マウスの交配が難航していること、および遺伝子欠損マウスが蟯虫に感染してしまったことから、最初から実験を行わなければならないのが現状である。
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