研究課題
Legionella pneumophila(レジオネラ菌)は、レジオネラ肺炎やポンティアック熱の原因細菌である。レジオネラ肺炎は乳幼児や高齢者、易感染性宿主では重症化しやすく、無治療の場合において死亡率が高い(10-30%)。レジオネラ菌はマクロファージなどの食細胞に貪食されても、貪食された細胞内で増殖できる細胞内寄生性細菌である。レジオネラ菌は感染宿主細胞内でエフェクタータンパク質を分泌する。これらのエフェクタータンパク質によって、レジオネラ菌が含まれるファゴソームは小胞体様に改変されて、増殖ニッチが形成される。これまでの研究によって、Dot/Icm分泌装置と呼ばれるIV型分泌装置依存的にエフェクタータンパク質がレジオネラ菌体内から宿主細胞内に分泌されていることが明らかになっている。レジオネラ菌ゲノム上の約3100遺伝子のうち、400遺伝子以上がエフェクタータンパク質であるが、その多くの機能は明らかになっていない。本研究では、これまで宿主細胞内で発現することが明らかになっている275のエフェクタータンパク質の宿主標的タンパク質を探索した。HEK293細胞でFLAGタグ融合エフェクタータンパク質を発現させて、免疫沈降法でエフェクタータンパク質を精製した。精製したエフェクタータンパク質のトリプシン処理を行い、LC-MS/MSで解析することによって、エフェクタータンパク質に結合している宿主タンパク質を同定した。その結果、25以上の宿主標的タンパク質が明らかになっていなかった新規エフェクタータンパク質を明らかにすることができた。これらの宿主標的タンパク質には小胞体の小胞輸送に関与するタンパク質であるVCPやCOPI複合体などが含まれる。
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Immunology
巻: 149 ページ: 320-328
10.1111/imm.12647